タランティーノはもうたくさん
クエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』を劇場で見た。この監督は『レザボア・ドッグス』(92)の時は、みんなほめ過ぎだと思ったが、『パルプ・フィクション』(94)と『ジャッキー・ブラウン』(97)は大好きだった。映画の持つ本来的ないかがわしさを表現するのがうまいと思った。
ところが『キル・ビル』(03/04)はやり過ぎ。ジャンル映画を好き放題に組み合わせて、第一部はまだおかしかったが、第2部は退屈してしまった。もうたくさんと思った。
今回もそんな感じ。マカロニ・ウェスタンの残酷アクションを再現して、8人の殺し合いをみっちり2時間48分も見せる。途中から種明かしまであって、時間はもとに戻り、実はこうでしたと見せる。敵と思ったら見方で、味方と思ったら敵でというどんでん返しを繰り返しながら、最後まで突き進む。
そのうえ、今回は室内劇。前半、カート・ラッセルとジェニファー・ジェイソン・リーの乗る馬車にサミュエル・L・ジャクソンとウォルトン・ゴギンズに乗ってきて、4人と御者が走り出す感じは、いかにも西部劇らしい出だしだと思った。ここまでが30分超で、途中でミニーの紳士服飾店に寄ってそこで5人の怪しげな男たちと出会ってから終わりまで、2時間以上がほとんど家の中。
みんなよくしゃべり、そして平気で銃をぶっ放す。ありえないほど血が噴き出し、どんどん死んでゆく。カメラは縦横無尽に部屋の中を移動し、クロースアップでそれぞれの顔を写す。まさに「コテコテ」とはこのこと。
美術監督が種田陽平で、部屋の中にはいろいろな小道具が満載。ピアノやキッチンやベッドや暖炉などが大きな役割を果たす。
見ていて退屈したわけではないけれど、やはりうんざりした。考えてみたら、このいやおうなしの満腹感はマカロニ・ウエスタンやその後の『ワイルドバンチ』(69)などの血みどろ西部劇でも感じることなので、まさにそれがタランティーノがやりたかったことなのだろう。
個人的には『ジャンゴ』(12)の方がまだ良かった。しばらくタランティーノは見たくない。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- なぜかイタリア映画の専門家に(2026.08.07)
- 『プライベート・ケース』のフランス映画らしさ(2026.08.05)
- 『海辺の一日』に息を飲む(2026.07.30)
- 「出光真子」展に行かねばならない(2026.07.26)
- 『八つ墓村』をめぐって(2026.07.24)


コメント