« 『若き詩人』のきらめき | トップページ | 『団地』の衝撃 »

2016年3月 9日 (水)

美術以外の展覧会:その(3)「ピクサー」展

もともとアニメは見ない。もちろん小学生の頃は、「鉄腕アトム」や「鉄人28号」をテレビで見ていたけれど、5年生頃からやめてしまった。アニメもウルトラマンのような特撮実写ものも、ある時急に「バカバカしい」と思った記憶がある。大学生になって映画好きになっても、アニメは敬遠していた。

だから「ピクサー」といわれてもピンと来ない。ところが最近大学で映画を勉強しに来た新入生の中には、「将来ピクサーに入りたい」とまじめに言うのが必ず数名いる。それほど彼らにとっては「ピクサー」は大きな存在のようだ。

今回の「ピクサー展」は、天井が高く大きな展示室を持つ現代美術館の2フロアーを使って、ドローイング、パステル画、デジタル画、フィギュア、メイキング映像、未公開作品などが、約500点、所狭しと展示されている。『トイ・ストーリー』などに夢中になった人ならば、きっと楽しめるだろう。

驚くのは、アニメを作る工程を細かに説明していることで、CGアニメであっても、いかに多くの人々の手の込んだ作業が存在するかがよくわかる。見ていると、「こんなに大変なんだよ」という声があちこちから聞こえそうな気さえする。

白状すると、ピクサーのアニメで個人的にきちんとスクリーンで見たのは『カールじいさんの空飛ぶ家』だけ。あらゆる色の風船が空に舞って、家が飛ぶシーンくらいしか記憶にない。だから今回の展示を見ても、あまり愛着は起きなかった。

アニメ作品と関係なく作られていた展示が2つ。ひとつは「ゾーイトロープ」で、映画誕生前の19世紀半ばのおもちゃを大きな立体フィギュアで再現していた。これは映画やアニメの原理を理解するには一番で、これだけ大きく作られていると迫力もある。

もう1つは「アートスケープ」という横15メートルくらいの巨大な映像。そこにはいくもの窓(あるいは絵画)があって、カメラがその1つに入ると、その世界が展開する。1分ほどでそこを出て、また別の窓に行く。雪の降る寒村だったり、パリの街だったり、15分ほどの映像だが、見ていて飽きない。よく見ると「ピクサー」の映画の要素があちこちにある(ようだ)。

そのほかオリジナル短編もあちこちにあって、私のように「ピクサー」初心者でも楽しめる。「スタジオ設立30周年記念」と銘打たれているが、この30年といえばちょうど自分が働き始めてからの時代なのだと考えると感慨深かった。「ピクサー」は私とほとんど関係のないところで、こんなに大きな存在になっていた。たぶん「ピクサー世代」というべき若者が、世界中にいるのではないか。

「ピクサー展」は5月29日まで。

|

« 『若き詩人』のきらめき | トップページ | 『団地』の衝撃 »

文化・芸術」カテゴリの記事

映画」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/63319586

この記事へのトラックバック一覧です: 美術以外の展覧会:その(3)「ピクサー」展:

« 『若き詩人』のきらめき | トップページ | 『団地』の衝撃 »