2つの記者会見に出る
先週はこちらに来て、初めて記者会見というものに2つ出た。1つはシネマテークの「ガス・ヴァン・サント展」の内覧に続く監督同席の記者会見、もう1つはカンヌ映画祭のセレクション発表のもので、なかなかおもしろかった。
日本だと私にもいろいろな会見の案内が来るが、もちろんこちらではない。今回2つに行けたのは、偶然友人から誘われたからだった。
シネマテークの「ガス・ヴァン・サント展」は、この展覧会のコミッショナーのマチュー・オルレアンさんが日本のフィルムセンターに「ジャック・ドゥミ展」を持って来た時に会っていた。パリに来たとメールを送ったら、この案内をメールで送ってくれた。
9時半から内覧で11時から記者会見と書かれた案内のPDFを印字して持って行ったが、名前が登録してあったのですぐに入れた。着いたのは9時半過ぎで、展覧会場はあまり広くなかったので、10時過ぎには見終わった。
しかたがないからカフェで時間を過ごしていたら、ガス・ヴァン・サントがやってきて、ちょっと感動した。展覧会については後日書くことにするが、記者会見はなかなか感じが良かった。もともと写真が好きでアートから映画に近づいた過程を淡々と語っていた。
カンヌの記者会見は、パリに長く住むジャーナリストの友人から教えてもらった。「どうせネットで中継するから行かない人も多いので、既にジャーナリスト登録をしているのなら頼めば大丈夫」。言われたメールアドレスに聞いてみたら、私宛に招待状が来た。
会場はUGC Normandieという大手チェーンのシャンゼリゼの映画館。さすがに少し緊張して招待状を印字して持って行ったが、今度も名前が登録されていた。どうも印字はいらないらしい。千席ほどの大劇場で、7割くらいは埋まっていた。入って驚いたのは、最近労働法改正反対で街頭デモをしている学生たちが30名ほど舞台下に陣取っていたこと。
「カンヌっていつ?」「フェスティバルはおしまい」「労働者への軽蔑」「また私たちです」「自分の責任って?」などと書かれたプラカードを持って、無言で一列に並んでいた。
時間になると総裁のピエール・レスキュールがマイクを持って現れて、「会見の前に、彼らの言い分を聞きましょう」。学生は現在の労働環境がいかに過酷で、今回の改正でさらにひどくなること、映画関係の職業は特にそうなることを訴えた。そして全員でシュプレヒコールを挙げながら、整然と去っていった。
もちろんこれは事前に学生側が申し込んで、映画祭が認めて仕込んだことだろう。そうでないと学生はまず会場に入れない。それでも、政府からの補助金で成り立っている映画祭に、政府批判の学生たちをいれてかつマイクを渡して話を聞くという態度に、度量の大きさを感じた。この記者会見の中身についても後日書く。
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