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2016年4月 2日 (土)

パリに着いても日本の話:その(4)『家族はつらいよ』

フランスについて10日ほどになるが、パリに行く直前に劇場で見た『家族はつらいよ』について書いておきたい。最近の山田洋次はどちらかというとシリアスなテーマにコメディ要素を入れる感じだったが、今回は全体が喜劇で本来の持ち味が出ているような気がした。

全体に気を緩めて作っている感じ。登場人物はほぼ『東京家族』と同じという安易さ。映画の中に『東京家族』のポスターが出てきたり、『男はつらいよ』のDVDの箱があったり。極めつけは、父親役の橋爪功は、『東京物語』をDVDで見ている。それを途中で止めたり、ラストシーンでは寝ていたり。

つまり普通なら禁じ手になるものをどんどん取り入れて、わかりやすく作っている。だからこそ山田喜劇の持ち味、つまり昭和的な「てんやわんや」のおかしさが出たのだろう。かつてのドリフターズみたいと言ったらいいのか。

なにより、橋爪功の演技がいい。彼が威張ったり、驚いたり、怒ったりするのがあまりにコミカルで笑ってしまう。『東京家族』で一番良かった妻役の吉行和子を完全に食っている。

長男役の西村雅彦も『東京家族』よりずっと生き生きしていた。息子の野球の応援に行くはずの日曜日に、家族会議が開かれる時のしぐさはなかなか。その妻役の夏川結衣は相変わらず安定した演技を見せる。

『東京家族』ではかなり浮いていた林家正蔵もまあまあ。その妻役の中嶋朋子もそれなりに。次男の妻夫木聡とその恋人役の蒼井優は役柄が単純すぎるとはいえ、清涼剤のような枠割を果たしていて見ていて何とも気持ちがいい。

物語は妻の誕生日に「何が欲しい」と聞いた橋爪が、離婚届を持ち出され、うろたえてしまうというもの。そのショックで橋爪は倒れてしまう。結局はすべてもとのさやに収まるけれど、見ていて最後まで見飽きない。

個人的には『母と暮らせば』よりもずっと好きだった。山田監督は今後は元気な限りこのシリーズ化を続けてほしい。日本の話はこれでおしまい。これからはずっとパリの話をするつもりだが、そんなに毎日書くことがあるのかどうか。今のところは着いたばかりだから、話題に事欠かないけれど。

そういえばパリで初めてプールに行って、なぜか3回も怒られた。それがおかしくて、なぜかこの映画を思い出した。プールの話は後日。

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