パリの生活が始まった:その(5)銀行口座を開く
フランスで銀行口座を開くべきか。滞在費は日本からもらっているし、長期ビザの条件で「収入を得ない」とサインしている。唯一必要そうなのは、大家さんの銀行口座に家賃を振り込む時。日本で払った1カ月分はカード決済で良かったが、次からは銀行振込と言われていた。
最初は、日本の銀行から海外送金の形を取ろうと思った。手数料は高いけど。ところが口座を持っているいくつかの銀行を調べてみると、ネットで送金をするには事前の郵便と電話での登録が必要だとわかった。たぶん違法な海外送金を防ぐためだろう。そうなるとこれはもう遅い。
では、日本の口座からユーロで引き出した現金を持って、振込先のHSBCの近くの支店に持って行くか。しかしいまどき10万円を超す現金を銀行に持ち込む人がいるのかどうか。きっと怪しまれるだろう。それに歩いて行けるところに支店はない。
もう1つ口座を作る理由が出てきた。こちらで買ったプリペイドの携帯をネット上でチャージしようとしたら、カード決済を拒否された。カード3つともダメ。スーパーなどは問題ないのに。また、カンヌ行きのTGVを予約しようとしたら、これまたセゾンカードでダメだった。どうも日本のカードは、フランスのIPアドレスでのネット決済は難しそうだ。
やはりフランスに口座を開いて、フランスのビザカードを作ろう。友人の話だと、オペラ座近くには日本語で対応してくれるフランスの銀行が2つあるという。そこに行こうかと考えたが遠い。ネットで調べてみると、最近はどの銀行も口座維持料を取っており、どうも郵便局の銀行、日本風に言うとゆうちょ銀行が手数料が安いらしい。
ゆうちょ銀行に口座を開設できるかネットで見たが、非EU圏だと難しそう。ならば行ってみようと、アパートから歩いて2分の小さな郵便局に恐る恐る行ってみた。受付のようなものがないが、どうも郵便と銀行に分かれているようで、それぞれに1人ずつ係がいる。銀行の方に行って、順番を待って「あのー、ここで口座を開きたいのですけど」
「それはアポが必要ですね。今日の午後2時半なら弊社顧客アドバイザーのアポが取れます」「はあ、ではよろしく」「これが、その時に持ってくるべき書類のリストです」
そこには最初の電気代の支払いの書類などがあるが、そんなものがあるわけない。とにかくアパートの契約書や住宅保険証書、大学の給与証明などすべて持って、ちょっと緊張して2時半前に行った。郵便局の奥には個室がいくつかあり、その前の廊下の椅子で5分前から待った。すると「ムッシュー・コガですね。こちらへ」と黒人女性が案内してくれた。
個室に入ると、ケブリと名乗るアラブ系の男性がにこやかに迎えてくれた。「このアメリーが研修中なので、同席させてもよろしいですね」と黒人女性を指す。「ハイ、ノープロブレム」。そして「あの、口座を開きたいのですが」と切り出す。
すると「フランスではどのように生計を立てておられますか」「フランスからの収入はありません」「はあ?」「日本の大学からの収入があります」「はあ。でもそれをどうやってフランスで引き出すのですか?」。そこで私はSony Bank WALLETと大きく書かれたソニー銀行のデビットカードを見せた。「おお、ソニー、それはすばらしい!」。さすがにソニーは有名か。続きは後日。
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