研究者用の図書館へ行く
着いて1カ月にもなるので、そろそろ「研究活動」もしないとまずいと思い、先週は研究者用の専門図書館に2つ行った。1つはシネマテーク内図書館の研究者スペース、もう1つは新しい国立図書館の研究者棟。どちらも簡単には入れない。
まず、シネマテークは、4Fの研究者スペースに恐る恐る近づいた。そこの受付にいた男性に「あの、この資料を見たいのですが」とネットで調べたメモを出した。
「ではまずあなたの所属とこの研究の目的を簡単に述べてください。データを作りますから」「はあ」。いろいろあって、「ではこの資料は2日で用意できますが、席は来週しか空きません。あっ、3日後に1席空きますが、13時に来られますか」「15時なら」
3日後に行くと、資料は用意されていた。しかし調べたかった内容と少し違った。それでもコピーをしようとしたら、「コピーは資料が痛むのでできませんが、写真を撮ることはできます」。カメラを持っていなかったので、スマホで撮った。さらに資料を要求すると、「では10日後にしか席があきませんがいいですか」「は、はい」。何と悠長なことだろう。
新国立図書館は、フランソワ・ミッテラン図書館と名付けられており、この大統領がルーヴルのピラミッドなどと共に立てた一連の新しい建物で、建築家はフランソワ・ペロー。シネマテークからセーヌ河をはさんだ向こう岸に、透明な高層ビルが4本立っている。
地下鉄駅から歩いて、階段を上って2Fへ。入口の矢印の方へ歩くが、入口がない。まるでカフカの小説『城』のような感じ。何百メートルも歩いてようやく入口を見つけた。テロで入口を1カ所にしているようだ。
荷物検査を受けて、中を見ると「入場券・会計」の窓口がある。私は1年間の研究者パスを買う必要があるので、そこに並んだ。ようやく私の番が来ると、「1年間パスはまずはインフォーメーションへ」。インフォーメーションに行くと、「研究者パスは、研究者受付へ」。
研究者受付は親切だった。私は自分が大学教員である証明書をアパートに忘れたが、名刺の束を見せたらOK。パスポート番号とか専門分野とかを打ち込んで、写真を撮ってくれてすぐにカードができた。「これから会計に行って60ユーロ払ってください」
それからバッグを預けて、地下の研究者棟へ。なんだか暗くて牢獄のよう。どのセクションかを選ぶ必要があったが、私は「P 視聴覚」を選んだ。そこでは多くのフランス映画を見ることができる。そこで選んだ、1953年のカンヌ映画祭でのジャン・コクトーのインタビューの声が聞こえて来た時は、ちょっと感動した。ジャーナリストがいかに映画をまじめに見ていないかを嘆くものだったが。
成果はともかくとして、研究者の真似事はようやく始まった。
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