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2016年4月30日 (土)

ジャック・ロジエとその後継者

シネマテークでジャック・ロジエ監督の『トルチュ島の遭難者たち』(1974)を見た。この映画はフランス発売のDVDボックスには入っているので(日本では未収録)見たはずだが、どうも記憶があやふやだった。

これはフランスの俳優、ピエール・リシャールの特集の1本で、彼と一緒に89歳のジャック・ロジエが舞台挨拶をするというので、行ってみた。すると、ネクタイをしたロジエが現れて、元気バリバリ。

映画は、見ていて困るくらいとりとめもないものだった。この監督はヌーヴェル・ヴァーグの記念碑的作品『アデュー・フィリピーヌ』(1962)で知られているが、それ以降はヒット作品はない。

それでも『オルエットの方へ』(1971)は、女の子2人のさえないヴァカンスの様子が抜群に楽しいし、『メーヌ・オセアン』(1986)は2人の国鉄職員の週末の迷走ぶりがおかしい。

ところが3作目のこの映画は、笑っていいのかどうかもわからない。旅行会社の社員ボナヴァンチュール(ピエール・リシャール)が「ロビンソン・クルーソー旅行」という企画を立てて、自ら6名ほどの若い男女を率いて部下のプチ・ノノと共に出かける。滅茶苦茶な道中の果てに途中で主人公がいなくなってプチ・ノノが中心になったりといい加減だが、最後はちゃんとみんな帰り着く。

それでも「ヴァカンスにあこがれて出かけるが、結局迷走する」というロジエのテーマは続いているし、その無軌道ぶりはロジエ映画のなかでも抜群だろう。

最近の若手の新作で、ロジエを思い出した映画があった。セバスチャン・ベベデール監督の「マリーと遭難者」Marie et les naufragesだが、この監督の1本前の『メニルモルタン 2つの秋と3つの冬』は最近日本で公開されたのに見ていなかった。

物語は、主人公のオスカーがマリーと出会い、彼女を追いかけてブルターニュ地方のグロア島に行くという話。それを同居人のヴィクトールとマリーの元恋人の小説家アントワーヌ(サッカー選手のエリック・カントナ!)が追いかける珍道中。

ところがここまでたどり着くのに、オスカーやアントワーヌやマリーが一人語りでこれまでの人生を写真付きで紹介したりとまわりくどい。アントワーヌは日本のウィスキーが好きで、オスカーとヴィクトールが住む部屋には「東京物語」という漢字入りのポスターがある。あるいは彼らが泊まるホテルは「ホテル・ドゥ・ラ・ジュテ」。それにブルターニュの島というのは、『メーヌ・オセアン』を思わせる。

映画はマリーの「これからどうなるの?」で終わる。とりとめがないが、十分に魅力はある。ただし、ロジエほどの破壊的な即興性はなく、小粒かも。

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