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2016年5月30日 (月)

カンヌが終わって:その(4)

今度こそ、カンヌはこれで終わりにする。まず、アート系映画館チェーンMK2の無料雑誌TROIS COULEURS(三色=もちろんMK2製作の「トリコロール」から来る)に、カンヌの超常連監督の話が書いてあった。今回2度目のパルムドールを取ったケン・ローチは、何とコンペは13回目だったという。

ダルデンヌ兄弟とジャームッシュは7回目。アルモドバルとアサイヤスが5回目。さらにムンジュウにメンドーサ、ファルハディ、ドランがたぶん3、4回の常連だから、半分近い。これではなかなかほかの監督は入れないだろう。

昨年は河瀬さんが、今年は是枝さんが「ある視点」へと落とされた。どちらもカンヌ向けのエキゾチズムを排したいい映画だと思ったが、やはりカンヌはそれでは困るのか。

雑誌にはほかの数字もあって、マリオン・コティヤールは、5年連続コンペ出品らしい。今年は「まさに世界の終わり」と「石の病」の2本もある。スターの常連は別にいいと思うが。

コンペと「ある視点」ほかのオフィシャル部門に監督週間と批評家週間を加えると、フランスが製作または出資した長編映画は52本。オフィシャルの半分を超し、監督週間の66%、批評家週間の85%。

つまり、フランスが関わる作品でないとカンヌにはなかなか出られないということ。『淵に立つ』も『海よりまだ深く』も日本の製作だが、既にフランスの配給が決まっており、世界配給もフランスの会社が担当しているのは、前に書いた通り。

調べてみたら、コンペはすべてフランスの配給が決まっており、世界配給も多くがフランス。「ある視点」だと18本のうち、フランスの配給先の表示がないのは3本のみ。世界配給も大半はフランス。つまり、すべてはフランス人同士のやり取り。いい映画ができたから日本からカンヌにDVDを送っても、まず相手にされないだろう。

審査員も今年は非欧米はイランの女性プロデューサーのみ。彼女は仏語を完璧に話していたから半分フランス人。とにかくカンヌに出て勝つには、フランス映画界と手を握るしかないのだろう。

世界的に見たら、アジアはどの国もどんどん秀作を作っているので、アジアのどこかでアジア映画を中心にアジア中心の審査員で国際映画祭をやったら、簡単に反カンヌの極ができると思うのだが。そしてメンドーサも是枝さんもそちらに出したら、欧米からみんな見に来るだろう。なぜ東京国際にそれができないのだろうか。

そういえば「ある視点」で『淵に立つ』の上の大賞を取ったフィンランドのユホ・クオスマネン監督「オリ・マキの人生最高の日」を見に行った。「ある視点」「監督週間」「批評家週間」は、カンヌ直後にパリで上映がある。

1962年のヘルシンキを舞台に、世界チャンピオンに挑むボクサーをオフビートの白黒で描く。ヌーヴェル・ヴァーグやジャームッシュ初期のような愛すべき小品だが、『淵に立つ』の方が映画としてずっと上だと思った。これまた欧米中心の審査かと思ってしまう。

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投稿: 石飛徳樹 | 2016年6月 2日 (木) 09時15分

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