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2016年5月 7日 (土)

パリジャンの日常:その(3)

何度も書いているように、早寝早起きだ。フランスに住んだら少しは変わるかと思ったが、飲み会が少ない分、むしろ定着した感じ。そこで一番困るのが、夜の試写会。

シネマテークでウジェーヌ・グリーンの「ジョゼフの息子」の会員向け試写会が19時半からだった。舞台挨拶などもあったし、もともと開始自体も10分ほど遅れて、映画が終わったのは22時近い。友人と待ち合わせていたので、それから夕食だったが、遅すぎる。

「住民たち」の試写は20時から。映画は83分だったが、開始は20分遅れて舞台挨拶もあって、おわりは22時頃。それからレセプションがあった。遅い。

聞いてみると、コンサートや演劇も19時半や20時始まりが多い。21時開始もざらにあるらしい。「いったい、いつ晩ご飯を食べるのか」と聞くと、「始まる前に少しお菓子などをつまんでおいて、終わったら友人と軽くサラダやスープですます。あるいは自宅で軽く食べる」

そのフランス人によれば、イギリスではコンサートや演劇は18時半からで、その後でゆっくり食事ができるらしい。日本もこれに近い。ところがフランスでそれはできないと言う。仕事が終わって慌てて劇場なんてありえない。家に帰ってシャワーを浴びて着替えてゆくものだと。

ところで私は夜の試写会の時にどうしたかというと、昼を多めに食べた。1度はクスクスというお腹いっぱいになるアラブ料理を食べた。もう1度はふだんは食べないデザートを取った。これだと20時になってもお腹がすかない。でも22時くらいから食べるから、健康には悪い。夜の11時半頃に帰って、胃薬を飲んだが。

私の考えでは、これはフランス的な「見栄」ではないかと思う。夜遅く食事をするというのは、本来翌朝遅くまで寝ていられる階級のすること。今では、翌日が休みの日に月に一度は贅沢をする感じか。

フランス語に「スーペ」souperという言葉がある。直訳すると「スープを飲む」。よくオペラ座あたりのレストランの案内に「お芝居の後のスーペにぴったり」などと書かれている。日本語だと夜食に近いか。もっとも「スーペ」には単なる夕食の意味もあるけれど、「スープを飲む」という語感は、何だかプルーストあたりに出てきそうな20世紀前半の貴族を思わせる。

それでもシネマテークの試写会の時には、19時頃に1階のカフェでサラダなどを掻き込んでいる人が2、3名いた。いまでは「スーペ」などと優雅なことを言っている時代ではないのかもしれない。世の中の健康志向もあるし。考えてみたらもうすぐカンヌ映画祭で、あちこちで「スーペ」かと思うと何とも気が重い。

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