パリの変貌:その(3)
昨日カンヌに着いたが、まだ始まっていないのでパリの話を続ける。ある日、郵便受けにパリ市のロゴの入った大きめの封筒があった。表に「重要」Importantとあり、「すべてのパリジャンへのメッセージ」Message a tous les Parisiensと書かれている。フランス人なら捨てるかもしれないが、自分も「パリジャン」と扱われたような気になって、嬉しくて開けてみた。
するとそこにはパンフレットと共に、パリ市長のアンヌ・イダルゴさんのサイン入り(もちろんコピー)の手紙があった。その文章はパリで開かれたCOP21の内容に始まって、パリは「ごみゼロ都市」を目指すので、協力してほしいというかなり熱い内容。
これまで緑のバケツに捨てていたもののうち、ビンは白へ、ほかのリサイクル可能なものは黄色へ捨ててほしい。そのためにガイドブックを同封するので、よく読んでください、と。
そのガイドを見て、びっくりした。段ボールと新聞と缶詰の缶とプラスチックボトルと小さな電気機器(ドライヤーの絵がある)が、すべてリサイクル用の黄色。なんてことだ。これだとゴミ集積所の人がまたいくつにも仕分けが必要ではないか。
考えてみたら、1984-85年に1年住んだ頃はもちろん、92年に3ヵ月住んだ時でさえも、ゴミの分別はなかったと思う。緑のバケツがアパートにあって、回収のトラックが来る時間になると、管理人さんが道路に出す。誰も仕分けはしていなかった。
少なくとも92年には、日本ではゴミの仕分けがあった。だからフランス人は何と大ざっぱなのかと思った。知り合ったドイツ人の友人も信じられないと言っていた。こういうマメなところはドイツ人と気が合う。
これが変わったのは、世界的な環境問題があるが、それ以上にフランス人のライフスタイルが変わったからだと思う。一言で言うと、前にここで書いた「ボボ」に近づいた。環境を意識し、無駄遣いをしない。
今回驚いたことに一つに、「ヴェリブ」Verib'と呼ばれる2010年から始まった共用自転車システムの普及がある。街の各地に自転車の並ぶステーションがあり、そこで借りて目的地近くのステーションに置く。クレジットカードを登録しておくシステムだが、30分以内は無料という。最近の地図を買うと、無数にあるステーションの場所が記載してある。
最近は「オートリブ」Autolib'という共用自動車まである。あれだけ私有財産にこだわっているように見えるフランス人のやることとは思えない。「シェア」するなんて、いかにもエコロジーにこだわる「ボボ」的ではないか。
だからゴミ分別も「ボボ」化である。しかしいきなり10種類ほどの分け方を提示して、段ボールと新聞を分けろとかとか言ったら、いくら「ボボ」でも無理だろう。だからしばらくは3種類でも、フランス人にとっては大いなる進歩である。
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