パリジャンの日常:その(4)
32年ぶりにパリで暮らして驚くのは、スーパーが朝から晩までノンストップであいていること。かつては12:30頃に閉まり、15:30くらいまで開かなかった。12:30直前に買物をしていると、「商品を置いてまた来なさい」と言われたこともある。
そもそも10時くらいからしか開いていなかったのが、今では8時半や9時から開く。そのうえ、日曜に開いている店さえあるのだから。
これと対照的なのが個人商店で、これはもう王様状態(客ではなく店主が)。近くのクリーニング屋に行ったら、入口横のソファに座って寝ている男がいる。誰かと思ったら店主だった。シャツが5ユーロ(600円強)と高い。そのうえカードで払おうとすると、「機械がない」。
「金曜にできる」と言うので午前中に行くと、まだできていなかった。「午後になる」と言うが、謝る様子はゼロ。翌日に取りに行ったら、ハンガー状態で渡された。「袋はありませんか」「禁止されています」「はあ?」
散髪屋はもう少し丁寧だが、それでも20ユーロなのに「カードの機械を持っていない」。もともと全く1人でやっていて、散髪中に何度も電話に出る。そのうえ、店の前を通る顧客に挨拶し、場合によっては客が店に来て世間話を始める。
新聞屋に新聞を買いに行ったら、朝の8時半なのに、「今、開けたばかりで整理ができていないから、あと10分後に来て」。その後は、7時に開くアジア人の店に買いに行くようになった。選択肢がある場合はいい。
肉屋はスーパーより2割高いが、肉の質は抜群。ここは売った人はチケットを渡すだけで、会計は別の場所で奥さんらしき女性が1人でやっている。そこはチーズなどの売り場を兼ねているから、おばあさんがチーズを選んでいたりすると、払うだけで10分待つのもザラ。
ワイン屋は実にいい品揃えでこちらの希望に答えてくれるが、問題は営業時間。店の前には10:30からと書いてあるが、11時を過ぎないとまず開いていない。昼休みもたっぷり取る。確実に買えるのは客の多い夕方の18時から19時か。
こういう店はだいたい、日曜と月曜が休み。いったい儲ける気があるのかと思うが、たぶんない。スーパーなどは国際的な競争にもさらされているが、こういう庶民の街の個人商店には競争相手はまずいない。だから自分が食っていければ十分だし、客の方もそれで文句がない。
だから個人の店でいちいち腹を立てるせっかちな私の方が、むしろおかしいということになる。もう2カ月以上たったけれど、なかなかパリの生活には馴染めない。
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