フランスで新聞を買うか
カンヌの期間中は、毎日「ルモンド」を買っていた。日本映画の上映の翌日や翌々日は「リベラシオン」も買った。ところが映画記事以外はとても読むひまがないので、大半を見出しだけ見て捨てる。普段はフランスの新聞は買わない。
「ルモンド」紙は、映画欄のある水曜日と事件の起こった翌日のみ買う。普段は地下鉄にある数種の無料紙ですます。後は時間が余ってカフェで過ごすときには、取り出すとカッコいいので買う。普通は毎日「ルモンド」のネットで見出しを確認するのみ。
フランスでは昔から学校が水曜が休みだったので(最近は自治体により変わりつつある)、映画は水曜に新作が出る。だから水曜朝刊には映画面がある。驚くのは、24面の新聞(別刷で医科学8面とかあるが)の4、5面を使って映画評やインタビューが載ること。4、5本を中心に紹介し、10本ほどの短評が載る。日本では考えにくいけれど。定期的に書いている筆者は4名はいるから、日本の新聞より記者の数が多いし。
カンヌの開催中には、どの新聞もなんと毎日必ずカンヌの記事がある。どこも4~6面。カンヌの存在自体もそうだが、映画というものが社会の中でとんでもなく大きな位置を占めているのは、何ともうらやましい限り。
日本では、朝日新聞を取っているので、こちらに来て朝食の時に何もないのが寂しい。どうするかと言えば、去年秋に朝日のネット会員になったのでネットで紙面を読む。あくまで紙面の形で読まないと落ち着かない。それでわかったのは、読む面とそうでない面があるということ。日本で新聞をパラパラめくっている時は気がつかなかった。紙面イメージだと、読みたい部分は拡大する。
必ず拡大するのは、東京版とか第3社会面のベタ記事。これは紙面イメージでは何だかわからないし、死亡欄も気になるので拡大する。面ごと飛ばすのが、株欄とラジオテレビ欄。見出しだけ読むのは社説。これは本当に読む気がしないし、そもそも見出しでわかる。その横の投稿欄「声」も外国では読む気がしない。
1面と2面はざっと読む。じっくり読むのは文化芸能面で、沢木耕太郎の連載と『吾輩は猫である』を全部読む。外国にいると連載小説が楽しみになるから不思議だ。あとは北朝鮮の連載とか、国際面の欧州の記事とか。
全面広告は意外に好きだ。拡大しなくてもわかる。健康食品とかブランドとか。日曜の読書面もじっくり読む。だから、こちらでも報道された熊本の地震はもちろん、田母神の汚職も千葉大生の誘拐も沖縄の死体遺棄もオバマの広島訪問も何でも知っている。
本当は「ルモンド」を30分ほどでざっと読めるようになりたいけれど、とても無理。文章がスカスカで写真や広告の多い無料紙がちょうどいい。ひょっとして、大半のフランス人はそうなのではないだろうか。
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