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2016年5月 9日 (月)

パリの生活が始まった:その(13)このアパートで良かったのか

このシリーズは終わったはずだが、もう1回だけ書きたい。ゆうちょう銀行との戦いは、後日談はあるがあまりにくだらないのでやめておく。とりあえず、フランスの金融機関は話にならないとだけ書いておく。それより、もうすぐカンヌも始まるので、今住んでいるアパートについて忘れないうちに記しておきたい。

このアパートは、前に書いたようにLODGISという不動産サイト(日本語もあり)で探した。今考えてみたら、ずいぶん大胆だったと思う。なぜなら、ネットの写真や解説では、そこが静かか、日が当たるか、そもそもどんな建物かはさっぱりわからないから。

1カ月たってわかったのは、私のアパートは19世紀半ばにできた町工場の建物らしいということ。もともと通りの名前を直訳すると、「なめし皮工場通り」、まさに工場が並んでいたはずだ。だからわずか3階しかない。私のへやは2階だが、ベッドは梯子をつたって3階にある。

おそらく1階が工場で、2、3階に従業員が住んでいたのではないか。それがそのまま残って、1階は主にオフィス、2、3階は仕切りを取ってアパートにしたのではないか。だから壁は薄い。ときおり、アパートの別の部屋でトイレを使う音が聞こえることもある。

ネットで写真を見た時は、ずいぶんモダンな感じだと思った。それはデザインを重視したリフォーム後の内装だったが、まさかこんな古めかしい建て付けの悪い建物だとは思わなかった。階段なんか壊れそう。

良かったのは、通りが静かなこと。小さな通りで店舗もないし、修道院とその寮、もう一つ小さな宗教施設以外はアパートだけ。元個人病院のような建物もある。パリに30年住む日本人の友人が訪ねてきた時、「田舎みたいな建物が並ぶ通り」と言った。13区は現代的な高層ビルが多いことでも知られているが、この付近は取り残された感じ。

そのうえ、すぐそばに大きな病院があって、中にはたくさんの木々がある。そのほかにも近くのあちこちに木々がある。だからいつも小鳥のさえずり声が聞こえて気持ちがいい。朝はいつも小鳥の声で目が覚める。これが9月まで続くといいが。

窓は東側に片開き2つ、西側に大きな両開き3つで明るい。それはネットの写真で見ていたが、計算外だったのは直接の日差しが少ないこと。このひと月半はとにかく寒かった。だから太陽が欲しかった。これからは夏が涼しくていいはずだが、それはまだわからない。

これまた偶然だが、近くにいい店が多かったのもよかった。パン屋、肉屋、魚屋、スーパー、カフェ、レストラン各種、近隣映画館、プールなどの充実ぶりは、東京の神楽坂の自宅を上回るくらい。

結果として総合的に言えば、まあまあ当たりだった。でもこれは偶然。できたら実物を見た方がいい。とりわけ建物そのものや日当たりなどは見ないと全くわからない。もちろん、隣人がうるさいかは住まないとわからないけど。

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