ヘルシンキの印象
初めてフィンランドという国に来た。この年になると、なかなか初めての国には行かなくなる。フランスはたぶん30回以上行っているのに、隣のベルギーには行ったことがない。フランス語圏なのに。そんな具合で北欧にも行ったことがなかった。
フィンランドで、何を思ったか。まず、正確さ、明快さへの意思だった。空港バスに乗ると、すべての降り場の到着予定時刻が正面のスクリーンに出た。もちろん今日のIT技術ならどこの国でも簡単にできるだろうが、日本ならば1分でも間違うと抗議があるのを恐れて、出さないだろう。
乗る時に、わずか6ユーロなのにクレジットカードを受けつけてくれたのも驚いた。フランスならば、バスの運転手は面倒だから現金しか受けない。それから、カードの承認時間が短い。カードを差し込んで番号を入れたとたんにOKのサインが出る。やはりIT大国なのだろう。
普通のバスでも、運転手が面倒がらずにバスのチケットを売ってくれる。プラハでもニューヨークでもバスはチケットを別の場所で買っておかなければならず、その場所がなかなか見つからなかった。
一番びっくりしたのは、カフェでワイン1杯を頼んだら、いちいち計量に入れて測って出していたこと。これはフランスはもちろん、日本も含めて世界のどの国でも見たことがない。嘘のようだが、よく見ているとたくさん注文が来ても全員分を測って注いでいた。全部のカフェでそうしているかはわからないが、少なくても中央駅前の数軒のカフェでその様子を見た。
かと思うと、大雑把な場合もある。ある美術館のカフェで昼食を取った時はビュッフェ形式だったが、好きなものを取ってレジに並ばなくてもそのままテーブルに着くことが可能だった。美術館に来ている客はそういうことはしないという信頼だろうか。
最近訪れた街では、人々が一番洒落っ気がなかった。みんな無印かユニクロかというような、平板な格好をしている。ときおり髪を真っ赤に染めたり、男性で髪を後ろに結ったりというのも見るが、これはお洒落というよりも、パンクで尖がっている感じ。
レストランでの食事は、なかなかおいしい。「地元の料理」と頼むとやたらに重たい肉ばかり出てくるプラハに比べて、さすがにサーモンなど魚の料理も多い。鹿や猪も食べた。やたらに安かったプラハに比べて、値段はパリに近いかも。
何より、港町なので海の匂いがするのがいい。海辺には市が立っていて、野菜や果物や古着や骨董まで売っている。フィンランド全体の人口が500万人強で、ヘルシンキは60万人ほどという。ほどよいヒューマンスケールですべてが無理なく機能している感じか。
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