「4つ目の道」から騒擾のパリへ
プラハに行く前日に見たのが、インド映画の「4つ目の道」The Fourth Direction。その日はサッカーの「ユーロ2016」の試合がパリで開催されない日だったので、労組各団体は労働法改正反対の大デモ行進を行った。行進のある大通りには警察の装甲車がえんえんと続き、デモが近づくと道路も近くの地下鉄も完全に封鎖。
そんななかで深く考えずに見に行ったが、モンパルナス大通りに面した映画館正面は閉まっていた。入口を探している数人に付いて裏側の通りに回ったら開いていた。
見終わると、裏側の通りも大通りに行く方向は封鎖されていて、デモ隊からコーラ瓶などが飛んできた。写真を取ろうとすると警察に制止されたので、反対方向に行った。大きく回って1駅分くらい歩いて地下鉄に乗ることができた。
なぜこんなことを書くかと言うと、見た映画の状況にどこか似ていたから。映画は1984年のインドのパンジャブ州が舞台。そこを支配するシク教徒たちは、政府軍と激しく対立する。
映画は最初はどうにか列車に乗せてくれと頼む2人の男を映し出す。これは乗客を乗せない列車だと断られても、2人は無理やり乗り込む。するとそこには4名の男が乗っていた。乗ってきた2人のうち、1人はしばらく前のことを思い出す。
その男は、妻子と旅行の途中に迷ってしまって親戚の家に泊めてもらうが、過激なシク教徒たちは逃げた政府軍はいないかと住民の家を訪ねて回っている。彼らは危うくシク教徒に捕まりそうになるが、犬のおかげで難を逃れる。映画はスリリングで不安な瞬間を、カメラを低めに構えて深い自然と共に映し出す。
この映画は去年のカンヌの「ある視点」に出ている。ガーヴィンダー・シングという監督の第2作というが、あえて結末を見せない謎めいた構造も含めて興味深い。まるで土地自体に悪が取り付いているような、そんな感じの映画だった。
そのまま外に出て、警察に追い立てられたので、「ここはインドか」と思った次第。家に帰ってサイトを見ると、ショーウインドーを大きく割られた店もあったようだ。労働法改正反対は全く同意するが、なぜ店を壊すのか。
そういえば、6月10日からフランス全土では「ユーロ2016」というサッカーの欧州大会が開催されている。パリの町中に、フーリガンらしき変な格好をした人々が欧州中から集まってきている。物騒な6月のフランスと、1980年代のインドが重なった。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 飛行機のトラブル(2026.09.07)
- 美術と映画をめぐって(2026.08.26)
- 本を売る(2026.08.20)
- 人生の僥倖(2026.08.09)
- いつの間にかイタリア映画の専門家に(2026.08.07)
「映画」カテゴリの記事
- 『赤い砂漠』の音と色の強度(2026.09.03)
- 『アニキ・ボボ』のドゥロ河(2026.08.30)
- 美術と映画をめぐって(2026.08.26)
- 岩下志麻『同志として妻として』を読む(2026.08.24)
- 『私の血に流れる血』の不可解な魅力(2026.08.18)


コメント