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2016年6月12日 (日)

アメリカのアート系とは

こちらのアート系映画館は、昔以上に「独立系」というのを目立たせている気がする。上映前に「パリのインディペンデント系映画館」Cinema Independent Parisienという広告があり、独立系でチラシのようなものも作っている。ソルボンヌ大学そばの「ルフレ・メディシス」で見たのはポルトガル映画、自宅近くの「エスキュリアル」で見たのは、アメリカ映画の「マギーのプラン」。

ポルトガルのジョアン・サラヴィーザという監督の第1回長編「山」Montanhaを見た。14歳のリスボンの団地に住む少年ダヴィッドのつらい日常を描いたものだが、何とも映画らしさに満ちている。最初の朝起きたベッドに母がやってくるけだるい感じからいい。

父はおらず、祖父は入院中で危篤状態。同じ団地に住む幼馴染の娘ポーリーナに惹かれてはいるが、お互い今さらという感じもある。学校を馬鹿にして、悪友のラファエルと遊ぶ。

女性教師に叱られる場面もあるが、彼女は声だけで写らない。あるいは重病の祖父は一度も姿を見せない。写るのは学校や団地や病院の廊下を放浪するダヴィッドの姿だけ。全体にわかりにくいけれど、一切に妥協をせず感情のままに生きるダヴィッドのピュアな魂が息づいている。

ポルトガルとフランスの合作だが、相当に才能のある監督の出現だ。このような映画は、なかなか日本での公開は無理だろうな。

レベッカ・ミラー監督の「マギーのプラン」Maggy's Planは、イーサン・ホークと『フランシス・ハ』のグレタ・ガーウィグ、ジュリアン・ムーアという組み合わせで、30代の男女の結婚物語を描く。要はガーウィック演じるマギーは子供が欲しくてムーアと結婚していたホークを奪って結婚するが、後に後悔するというもの。

こちらも日本公開は決まっていないようだけど、主演の3人がみんな大学教師で、一見するとウディ・アレンのような「迷えるインテリ」もの。しかし、どこかわざとらしい。最初にマギーは人工授精を考えるが、その相手は自家製ピクルス売りを始めたヘンな男。

そもそも私は、グレタ・ガーウィックという肉厚の自意識過剰な俳優が『フランシス・ハ』の時から苦手だった。今回の演出はいかにも普通のハリウッド映画のようなテンポのいいものだが、その分やらせ感が見える。

「ルモンド」紙などで大きく扱っていたし、アート系の映画館のあちこちで予告編がかかっていた。けれど同じアート系でも、ヨーロッパとアメリカではずいぶん違うなと考えた次第。せっかくニューヨークに行ったのに、映画は全く見ていないのに今頃気がついた。

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