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2016年6月 1日 (水)

パリジャンの日常:その(5)

私が住むアパートは日本式に言うと、2階にあたる。その2階からよく下の道路を歩く人々を見ていると、とにかく音をたてる人が多いのに気づく。まず、スーツケースなどを引きずる音。

これは昔はなかったが、車の付いたスーツケースを転がす人が増えた。ベビーカーも多い。それから車椅子の老人もずっと増えた。これは日本でも同じだ。

日本であまりないのは、車椅子の老人と一緒にレストランに来る息子や娘や孫。土日の昼間のビストロには実に多い。息子が「ママン、どの席がいいかなあ」と大きな声で話しかけると、母親は好きな場所を指している。もちろん席によっては車椅子が入りにくいが、店の人は心得て優しく接してあげる。

いざ料理が来ると、子供たちは切って口まで運んであげていることもある。「ほうら、お口を開けてね」と大きな声で言うからよく聞こえる。全体に微笑ましい空気が流れる。

フランスのレストランは、子供は入れないなどという話を昔よく聞いたが、少なくとも今はよほど高級でない限り子供はいるし、車椅子の老人だって問題ないようだ。

バスも、ベビーカーの女性は段差の少ない真ん中から入る。たぶんチケットなしで乗る。スーパーにも「妊婦、ハンディキャップの人優先」の列があり、その列では妊婦などは並ばずに一番前に行ける。

日本のイメージだと、パリはそういう優しさの一番ない街のような感じだが、少なくとも現代のパリはそうではない。だから逆に言うと、私の場合は老人や妊婦などを無視して我先に行かないように、日本の何倍も気を配っていないといけない。日本と同じように自然にせっかちに振る舞っていると、突然に軽蔑するような顔をされるから。

そういえば、この10年に日本で急激に増えたケアセンターのようなものは見ないし、迎えのバスや車も見ない。みんなどうしているのだろうか。もちろん老人ホームはあるけれど、そこに入れない人はどうしているのだろうか。

老人の数が日本と同じように増えているのは、街を見ればわかる。だけど老人を昼間預かるような施設は、少なくとも私のアパートの近くにはない。

それから妊婦や赤ちゃん連れの若い男女は、日本より目につく。やはり出生率が高いからだろう。特にアフリカやアラブや中国系が多いように思えるのは気のせいか。

いまだにカンヌで半分ボケた頭で、アパートの2階から下を見ながら、こんなことを考えた。

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コメント

ウィーンに行って、ちょっと北の方のベートーベンハウスみたいなところに行った。
その帰りに歩いてたら、「Segafredo」のサインが見え、そこに入った。白い建物の一角で結構きれいな感じ。入って右手がレストラン。
カウンターがあって、感じのよいおねーさんがいて、コーヒーを注文して、中庭で飲んだ。
コーヒーを飲んでたら、来る人来る人、車いすの人との同伴で、車いすの人と、その子供の家族みたいな感じ。
あまりにすごい確率と思ったら、そこは養老院で、養老院のレストランだった。

投稿: jun | 2016年6月 1日 (水) 22時07分

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