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2016年6月13日 (月)

アート系映画館や配給会社を守るフランス

昨日、アート(独立)系映画館の奮闘が目立つことを書いたけれど、カンヌ映画祭の最終日の1日前の「ルモンド」紙に、それに関係する短い記事があった。国立映画センターの旗振りのもとに、映画業界16団体が「すべての映画館で多様で質の高い映画が見られるため」の仕組みづくりに合意したという。

最近は映画のサイクルが短くなり、「1週間バカンスに出るだけで見たい映画が見られなる現象が地方を中心に起きている。フランスのインディペンデント映画はもちろん、ウディ・アレンやアルモドバルさえそうなった。上映のデジタル化で、同じ映画を上映することが益々容易になるというパラドックスに対応する」

改革案は、まずこの規則に従うべき映画館のスクリーン数を8から6に減らした。これでフランスの75%のスクリーンをカバーでき、残りはアート系なのでほとんどの映画館が規則に従うことになる。

そしてこれに当てはまる映画館はフランスで公開される650本のうち、400本を上映することが義務付けられる。さらに全国公開の映画は最低2週間は上映すること。そして配給会社には最低2週間前までに上映日を知らせること。

今では地方で10スクリーンのうち8スクリーンで同じ映画を上映している場合もあるが、これからはなくなるだろう。そして配給会社は、全国公開の最低20%のスクリーンは、上映人口5万人以下の町を選ばなければならない。

「だが、大事な点が忘れられている。2次使用の時期である。ビデオ・オン・デマンドで公開後すぐに見られる状況は良くない」

日本では2次使用の時期は比較的守られているが、そもそも国の機関が主導して、映画館や配給会社にもっとマイナーな映画を上映しろという規則を作るなんて考えにくい。それを言ったら、入場料の1割を国立映画センターが吸い上げて、フランス映画の製作助成やカンヌ映画祭への補助金、アート系映画館への補助などに当てるという根本の仕組みから違うことになるが。

フランスには一般に映画のチラシがないが、アート系の映画館は数ページのチラシというよりパンフに近いものをよく無料で配っている。最近見たイタリア映画「美しく、滅びて」は、広げるとポスターにもなる印刷物をACID(Association du cinema indepandant=独立系映画館連合)が作っていた。

ほかにもチラシを見ると、CAE(Association francaises du cinema d'art et esssai=芸術的実験的映画館のフランス協会)が作ったものや、Groupment national des cinemas de recherche=探求的映画館の全国グループが作ったものもある。さらにSDI(Syndicat des distributeurs independants=独立系配給会社組合)のロゴもよく見る。

また上映前にEuropa Cinemasヨーロッパ・シネマの短い紹介映像もよく見る。これはヨーロッパ映画をより多く上映するための団体で、EUの助成金を得ているようだ。

要は、アート系映画を守る団体がいくつもあって、それを映画業界全体と国が応援していることになる。日本のコミュニティ・シネマ・センターや小さな配給会社、地方のミニシアターの孤軍奮闘ぶりを考えると、やはりうらやましい。

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