『舞踏会の手帖』の日々:その(7)
週末をベルリンで過ごした。32年前にパリ大学で会った友人のSさん宅に2泊した。金曜夜、飛行機が着いてバスに乗り、その停車場まで迎えに来てくれたSさんは私を見るなり、「ミュンヘンでテロがあったみたい」。
3月後半にパリに着いたその日に、ブリュッセルの空港でテロがあった。7月に南仏の友人宅に遊びに行くと、数日後にニースで花火客にトラックが突っ込む事件があった。そしてベルリンに着くと、ミュンヘンで乱射事件が起こるとは。テロが身近に迫っている感じがする。
Sさんは、パリ第7大学時代に仲良くなったドイツ人の女友達。イギリス人のアドリアン君、フランス人のセルジュ君、韓国人のリム君らと一緒に映画を見たりして遊んだ。彼女の家に行って驚く。ベルリンの端の方だが、一応市内で森に囲まれた豪邸。大きな庭があって、いくつもの花を育てていた。
彼女の夫は歴史学者で、いくつもの著作があるそうだ。彼女は保険関係の仕事をしており、子供はいないが、それにしてもこんな大きな家に住めるとは。ローンが残っていると笑っていたが、南仏の友人にしてもモデナの友人にしても、みんな大きな一軒家に住んでいた。そしてゲスト用の部屋とシャワーがあった。
東京でウサギ小屋のような狭いアパートを何千万円も出して買った自分は何だろうかと、再び思う。バスで10分ほど行くと、大きな湖があり、たくさんの船が出ていた。ティーゲル空港に近いオールド・ティーゲルAlto Tegelと呼ばれる地区で、昔の保養地のようないい雰囲気がある。
朝は6時過ぎに起きて朝食を待っていると、8時頃になって「買物に行くけど、来る?」。することがないので付いていくと、チーズやハムを大量に買う。そしてそれが朝食に。
フランスやイタリアでは、朝からチーズやハムは食べない。チーズと言えば、夕食後にワインと共につまむもの。こちらも半分フランス文化に浸っているので、ちょっと変な感じ。茹で卵も出て、食べ終わったのは10時過ぎ。「これからどこを観光するか話し合おう」と言われた時は、頭がクラクラした。
ブランデンブルク門とホロコースト記念碑などを回ると、もう13時を過ぎた。そこでお茶を飲んでマルティン・グロピウス・バウで開催中の「ウィリアム・ケントリッジ展」を見ると15時。それからカフェでサンドイッチを食べて、チェックポイント・チャーリーなどを見て、17時半頃帰宅。
今までで一番ゆっくりした観光だろうが、そのまったりした感じがまたベルリンらしいのかもしれない。
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