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2016年7月22日 (金)

しっかりルーヴル:その(2)

ルーヴルについて再び書く。3階でよかったのは、コロ―が大作から小品まで実にたくさんあったこと。印象派登場の直前に活躍したこの画家には、実は印象派を先取りし、ある意味で超えているような前衛性がある。それは、日本の国立西洋美術館で10年近く前に見た個展で気づいた。

その新しさを肖像画の服の布地や風景画の森や水に見ながら、コロ―だけのいくつもの部屋を巡るのは快感そのもの。小品も多いが、それぞれに楽しめる。帰国前にもう一度来たいなどと考えていたら、唐突に有名なフェルメールが2点。

『レースを編む女』と『天文学者』だが、あまり人はいない。そもそも3階は《モナリザ》のある2階や《ミロのヴィーナス》のある1階に比べたら、圧倒的に観客が少ない。いかにも美術ファンといった人々ばかりで気持ちがいい。この2点の繊細な光の行方を、じっくり間近で見られたのはよかった。

それから、ヴァトー、ブーシェ、フラゴナールといった18世紀フランスのロココ絵画をたっぷり。こちらは好みではないが、それでもほとんど誰もいないゆったりとした空間で見るのは悪くない。アングルには、まさに驚いた。《トルコ風呂》を始めとして、特に女性の背中の描き方にうっとり。

2階に降りてリシュリュー翼で昼食を取り、18世紀や19世紀の工芸品を足早に見た後、シュリー翼に移ってレンブラント。自画像など著名な作品も多い。なぜかそのあたりにあるギリシャの陶磁器も駆け足で見て、ドゥノン翼のイタリア絵画へ。

こちらは《モナ・リザ》もあるので、観光客がだんだん増えてくる。ボッティチェルリ、ティティアーノ、ティントレット、ペルジーノといったルネサンスの有名どころを見ていると、イタリア絵画特有の色彩感覚に踊りだしたくなる。レオナルド・ダヴィンチの《岸壁の聖母》といった名画も出てくる。

いよいよ《モナ・リザ》の部屋になると、もう鑑賞どころではない。常に200人ほどの観客が群がって、写真を撮り、騒ぐ。3、4人の監視員が見守るが、全く無視して大声を挙げる。もちろんちょうど向かいにあるヴェロネーゼの名画《カナの婚礼》に目を向ける人は少ない。

次の部屋には植物で人の顔を作る奇妙なアルチンボルドの絵があり、端正なラファエロがあった。次にスペイン絵画だと思ったら、ほとんどが閉鎖中。ベラスケスはわずか1点。イギリス絵画はわずか1部屋で、ターナー1点にコンスタブル1点。

絵画を見る限りでは、ルーヴル美術館とはつくづくフランスとイタリアの美術のためにあると思った。16世紀のミラノ公国やメジチ家とフランス王朝の結びつきから出たものだろうが、改めてその関係を再認識した。帰国までに、今回見られなかったオランダの17世紀とスペイン絵画の展示室が見られるのならもう一度来たい。


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