モデナやラヴェンナのこと
ボローニャで見た映画で書いていないものもあるが、もう1つの目的だった友人との再会について書いておきたい。ボローニャから電車で20分ほどのところにモデナという街がある。バルサミコ酢で有名なところだが、その近郊に昔日本でイタリア語を教えていたFさんは住んでいた。
モデナ駅に来てもらって、まず連れて行ってくれたのは、パルミジャーノ・チーズの工場兼販売所。乳牛を何百頭も飼っていて、そこから取れる牛乳を発酵させてチーズにする。12ヵ月発酵とか36ヵ月発酵とかのものが、50メートルほどの天井の大きな倉庫にうず高く積まれていた。
それから小さな部屋では若い女性たちが、トルテリーニ=詰め物のパスタを作っていた。ちょうど餃子作りに近いが、ずっと小さいので根気のいる作業だろう。そして味見コーナーで、パルメザンチーズやパンやバルサミコ酢を、ランブルスコと呼ばれる地元の発泡ワインを飲みながら味見。
そしてFさんの家に行った。モデナ近郊の田舎で200平米ほどの大きな庭付きの一戸建て。そして庭のテーブルで買ってきたトルテリーニを茹でて食べると、もう天国の気分。それから、バルサミコ酢の博物館と近くの丘にある中世の教会を訪れた。バルサミコ博物館にもアメリカ人やドイツ人の家族が訪れているのにびっくり。
翌日は海に近いラヴェンナを訪れた。世界遺産に指定された5世紀や6世紀の初期キリスト教建築が立ち並ぶ街で、内部のモザイクの壁画は圧巻。小さな建物ばかりだが、何時間でも過ごしたくなる。特に青のモザイクが際立って美しい。こんな不便な場所なのに、ここには団体客もいたから驚き。
そしてラヴェンナ海岸で、ビールを飲みながらピアディーニと呼ばれる野菜を挟んだ薄いパンと海の幸のスパゲッティを食べながら海を見ていた。ここも平日なのに保養客で賑わっている。
Fさんは、この日曜から家族で南イタリアのプーリアに2週間バカンスに行くという。ボローニャの高級ホテルに泊まって、発掘された珍しい映画を見ている自分が、何だか馬鹿みたいに見えてきた。それ以上に、東京で何千万円も払って狭いアパートを買って暮らしている自分は何だろうと思った。
ヨーロッパの人々は、お金を使わずにもっと人生を楽しんでいる、そんな気がした2日間。
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