「レア」に泣く
マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ監督は、日本でも『輝ける青春』などが公開されている。個人的にも何度も会っている監督なので、彼の新作「レア」Leaを公開初日に見に行った。
多くのイタリア映画がそうだが、「レア」もフランスでの映画評はあまり出ていない。「カイエ・デュ・シネマ」は全く無視だし、「ルモンド」紙も短行扱いだった。
確かにジョルダーナ監督のように、社会派でかつドラマチックな作品は、アート系での評価は難しい。彼の場合、手法自体は極めてオーソドックスで、そのうえ泣かせるメロドラマが含まれている。スノッブなフランス人がバカにしやすい気がする。
私は日本で公開された『ペッピーノの百歩』に泣き、『輝ける青春』で大泣きした。特に親子の愛が出てくると、もうボロ泣きをしてしまう。
今回の「レア」も、後半に泣いた。物語は南部のカラブリアに生まれた女性レアが、ンドランゲタと呼ばれるマフィア組織から何とか娘と逃げ出そうとするもの。実際に2009年に殺害されたレア・ガロファロという女性の足跡を丹念に追った劇映画で、シチリアの反マフィア運動で活躍した実在の人物を描いた『ペッピーノの百歩』にかなり近い。
ただ、評価が低いのは、事実を追うあまり、前半が細切れになっていることだろう。レアが幼馴染みカルロに誘われたかと思うと、もう子供ドニーズができており、そのカルロと共にミラノに行く。カルロは闇の商売で暮らし、逮捕される。レアはすべてを断ち切って娘と暮らそうとするが、ンドランゲタは探し出す。
レアとドニーズは警察の保護下に入り、全国を転々とする。それでもンドランゲタは見つけ出す。このあたりまでが前半で何とも目まぐるしい。後半はレアとドニーズが何とか組織から逃れて生きようとするさまを描き、レアの殺害後は娘を中心に描く。
最後にレアの実際の葬儀の映像が流れた時には大泣きしてしまった。レア役のヴァネッサ・スカレラの存在感が出だしのアップから圧倒的だ。幼かった少年が組織に入ってだんだん貫禄がついてきて、最後は何とか娘と会おうとするカルロを演じるアレッシオ・プラティコも実にいい。
この映画は、日本では最近のイタリア映画の上映で実績のある岩波ホールで十分行けるのではないか。
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