夏のローマを歩く:その(1)
実は、ローマに行っていた。といっても、ローマ大学のラ・ロッカ先生に会うために1泊しただけだが、ついでにローマを歩き、美術館などを見た。ローマにはたぶん6、7回は行っているのに、信じがたいことに美術館をきちんと見たことがなかった。
唯一見たのは、国立近代美術ギャラリー。これは1990年ごろに具体美術展をした時の会場だったので、キリコや未来派の作品などの所蔵品を何度も見た。
ところが、ほかの美術館にはほとんど行っていない。とりあえずホテルから歩いて行けるバルベリーニ宮殿とボルゲーゼ・ギャラリーに行くことにした。どちらも国立美術館。
バルベリーニは国立古代美術館と銘打っているが、実際にはルネサンスやバロックから18世紀くらいまで展示していた。ここは8時半からとホームページに書かれていたが、9時前に行ってみると入口に9時からと書いてあった。
巨大な宮殿なのに観客は極めて少ない。チケットをカードで買おうとすると「現金のみ」と言う。大きな建物の半分以上は閉まっていたが、それでもイタリア美術をたっぷり見た感じ。一番有名なのはカラヴァッジョの2点だろうか。
そのほか日本でも個展をやったグエルチーノとかペルジーノとか。そのほか名前を知っているのは、ティツィアーノとかティントレットとかレニとか(ボルゲーゼの方かもしれない)。なぜかフランスのニコラ・プッサンもあった。それ以外の大半は全く名前を知らない画家ばかり。
それから33度の炎天下を歩いて、20分ほどでボルゲーゼ・ギャラリーに着いた。こちらはチケットを買おうとすると「事前予約者のみ」と張り出しがしてある。ホームペ―ジには書いていなかった。汗だくの顔で泣きそうに「本当にダメですか。今日帰るんですが」と言うと、「あなた1人で1時間だけで帰るなら、券を売りましょう」とのことで助かった。
小さなポシェットを肩にかけて入ろうとすると、入口の男が看板を指さす。どうも肩にかけるものは一律にダメなようだ。イタリアにしてはずいぶん杓子定規。仕方なく、地下の荷物預かり所に預けた。
こちらはカラヴァッジョが6点もあり、日本にも来た有名な作品も2点。黒をバックにした濃淡の激しいドラマチックな画面が輝く。そのほか、ラフェロとかボッティチェッリとか有名どころも多い。それでも半分以上は知らない画家。それからミケランジェロなどの彫刻作品も多かった。こちらは観光客が多く、確かにこれ以上だと落ち着いて絵を見られなくなる人数だと思った。
あまりに知らない画家が多くて、少し反省した。イタリア美術史を勉強してからこれらを見たらずっとおもしろいだろうなとは思うが、その時は訪れるだろうか。人生は、思いののほか短い。
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