パリジャンの日常:その(9)
先日、また国立映画学校La Femisに行ってきた。国際部長のPさんからのお誘いで、彼女の下で働くTさんと、かつて日本のフランス大使館で働いていたLさんという、私より少しだけ若いフランス人女性3人とのランチだった。
Pさんからの誘いのメールは、夏季セミナーで私に講演をしてもらうからその打ち合わせをしたいとのことだった。あまり無理な注文ならば断わろうと思いながら出かけた。
まずJさんを紹介された。彼女も2001年から02年にかけて日本のフランス大使館で働いていた。私はJさんのことを覚えていたが、先方は全く記憶にないと言う。その頃は私はイタリアとの仕事が多かったのでと、思わず私が言い訳をした。
それからイタリア映画祭の話になり、フランス映画祭の話になった。横浜でやっていたころが一番良かったのに、なぜ六本木のシネコンに行ったかとか、なぜ今は朝日ホールなのかとか。
それからJさんの日本人の母親の勲章の話から、私がもらったフランスの勲章の話へと話はずれる。そこへ遅れたLさんがやってきて、なぜか日本の労働環境の話になった。
日本の会社では、男も女も超過勤務は当たり前。Lさんは日本の女性社長の会社で働いているが、子育てをしている女性は5時や6時で帰る代わりに給料は2割カットで、家からも仕事のメールを送っているという。私はそんな会社ばかりではないだろうと言うが、日本で働いているフランス人の話は説得力がある。
それからこの30年でパリはどう変わったかと聞かれたので、フランス人が英語を話せるようになったと言うと、日本人の英語力の低さが話題になった。それは英語教育がおかしいからだと日本のフランス大使館で働いたJさんとLさんは言う。
それから日本語は難しいかという話になった。Jさんはハーフなので日本語は完璧で、Lさんも会話はできる。その2人が日本語は話すのは容易だが、書くのは極めて難しい言語だと言う。
3人とも結婚して子供がいる。そして元気に働いている。そして無限に話す。あっという間に2時間がたった。私の講演の話は全く出なかった。いったいあのランチは、本当に何だったのだろうか。
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