映画以外のロカルノの話:その(2)
ロカルノの最高賞は「金豹賞」。ベルリンが「金熊賞」、ベネチアが「金獅子賞」、カンヌが「金棕櫚賞」だが、日本ではカンヌだけカタカナで「パルムドール」。だからロカルノのシンボルは豹で、期間中は町中が黄色に黒の紋の豹の帯で囲まれる。さて、豹はロカルノにいるのか。
そう思っていたら、朝、ベランダの窓にいた。大きめの猫のようだが、ほっそりとしなやかで明らかに顔つきが虎に近い。思わず写真を撮ろうと手前の洗濯物干しを片付けたら、その音で逃げてしまった。本当に豹か、あるいは山猫か。
ロカルノはイタリア語を話すので何となくイタリアのような気がしているが、やはり違う。まず第一に清潔である。これはイタリアではありえない。トイレはどこも綺麗で、そのうえみんなトイレの後に石鹸をつけて時間をかけて手を洗う。
こんなに真剣に手を洗う人々は見たことがない。おかげでトイレそのものより洗面所の方が混む。それから、イタリアに比べて時間を守る。映画はほぼすべて時間通りに始まるからストレスがない。ベネチア映画祭は会場によってすべて1時間遅れなんてザラ。
始まる前ににトイレに行く時に再入場証を渡されると、ここは日本かと思う。一般の映画館での上映では、並ばせて番号札まで配っていたのも日本的。
映画祭の一般客もまじめ。まず服装が、イタリアやフランスに比べてきちんとしている。みんなカタログを買って上映前によく読んでいる。会話はイタリア語、フランス語、ドイツ語が入り混じるが、映画を見る一般客の多くはスイス人のようだ。
あらかじめ教えてくれない、ということがどうも多い。ホテルの朝食は8時からだが、知らなくて7時に行ったら怒られた。たぶんアジアのアホ青年と思ったのか。ほかの映画祭関係者と一緒に交渉して、翌日からは7時45分に開けてもらうことにしたが。
朝食で茹で卵だと思って割ったら、生だった。仕方がないから黄身だけ飲んで、皿に白身を残したが、またアホだと思われたかもしれない。このホテルでは茹で卵は自分で茹でないといけない。煮えたぎる湯の中に茹で卵を入れる容器があって、時間も自分で決める。慣れるとこれが結構おもしろい。
ホテルのほかの客を見ていると、どうも登山電車の切符をホテルで買っているようだ。聞いてみると往復で300円くらいで断然安い。早く教えて欲しかった。
若く見られるのは、欧米人からばかりではない。こちらで出会った中国人2人にも「35歳」と言われた。共に映画を勉強している27歳のパリ住まいの青年と26歳のロンドン住まいの女性だったが、「どう見積もっても40代前半」と言われた。結局、晩ご飯をごちそうすることになったが、あれは実は作戦にはまったのかと翌朝思った。
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