パリのささいなこと:その(2)
なぜか日本食を食べていない。我慢しているわけではなく、アパートの近くには中国人やベトナム人経営の和食しかないので、行かない。オペラ座付近の日本料理店には朝日新聞のパリ支局の方に連れて行ってもらったが、そこにいる日本のパリ駐在員たちや日本好きのフランス人インテリたちを見て、行く気が失せた。
ほかに日本食を食べたのは2回。プラハの日本大使館で和食の晩餐会があった。その後は南仏のエクサンプロヴァンス近くで、日本人とフランス人の夫婦に連れて行ってもらった。これは彼らが行きたかったから。鰻重をたべたが、おいしかった。
自炊でも、和食は作っていない。フランス人を招待する時に、小さな醤油の瓶だけ買って、生のマグロとアボガドのサラダに使った。和食を作るとなると昆布や鰹節や味噌が必要だが、オペラ座付近までいかないと入手できない。ならば6カ月くらい、あくまで普通のフランス人と同じものを食べようと思った。
もちろん、典型的なフランスめしのステーキとフライドポテトばかりでは体に悪いので、外食では中華、ベトナム、韓国、インド料理などでバランスを取っている。私にはこれで十分。
「HEMA」という安売り店がある。オランダが発祥の地だが、IKEAか無印のような感じで、デザインのいいものを極端に安く売る。形のいいワイングラス6個で6ユーロには眩暈がした。
長い間、A4の用紙を買っていなかった。日本から少し持って来たし、あとは裏紙に印字していた。シネマテークの図書館でコピーする際に数枚ガメてきたこともある。それも少なくなり、どうしようかと思っていたら、HEMAで500枚で3ユーロなので買った。安すぎ。
フランス人はよく「お望みであれば」Si vous voulez、「したいなら」Si tu veuxという表現を使う。最初は、あくまで相手の意思を確認するのでフランスらしいと思ったが、実はこれは責任逃れ。
「あなたが希望するから仕方がない」という感じになる。32年前にパリ大学で教授が、授業で難解な解説をした学生に「お望みであれば、その解釈もできなくはないが」とやんわりと否定したことを思い出す。
フランス人でワインに私よりうるさい人は1割もいない。私が詳しいと言いたいわけではなくて、彼らの多くは関心が全くない。詳しいのは金持ちのインテリくらい。
フランスのお店では、お釣りがないのは店の責任ではないようだ。彼らは銀行でお釣りを用意するなどということはない。お釣りは客の払った分から出す。1ユーロの代わりに20サンチームを5枚返されることもザラ。だから、小銭をいかに減らすかをいつも考えざるをえない。これが疲れる。しょうもない話になったので、今回はこのへんでおしまい。
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