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2016年9月19日 (月)

「ノクチュラマ」の怖さ

映画を見るヒマがないと思っていたが、ある日シネマテーク図書館の研究者スペースでその日分に用意してくれた資料がピントはずれで、4時間の予定がわずか1時間で済んだ。次のアポまでの空いた時間を使って見たのが、ベルトラン・ボネロ監督の「ノクチュラマ」Nocturama。

これが見ていて怖かった。テロリストがパリ市内4カ所に爆弾を仕掛けて同時に爆破させ、それから高級百貨店に逃げ込んで夜を明かす。そこに機動隊が突入する。

見たのが、レアールの商店街地下のシネコンというのも怖さを増した。つまりパリで最もテロの可能性の高い映画館で、この映画を見たことになる。

前半は、午後2時頃から10人弱の若者たちの行動を写してゆく。明らかに何か悪いことを仕掛けているようだが、何かはわからない。時間は刻一刻と過ぎてゆき、不安が増してゆく。19時頃にHSBCの銀行頭取が殺される銃声が聞こえるあたりから、ようやく輪郭が掴めてゆく。

彼らは高級百貨店のガードマンたちを殺し、侵入する。そこで見るのが、販売用の大きなテレビ画面のニュース。内務省が爆破され、高層ビルの真ん中ほどの階から大きな炎が出る。ルーヴルそばのホテル・レジーナの前のジャンヌ・ダルク像が飛び散り、繁華街に並ぶ車がいくつも突然爆破される。

それから百貨店に閉じこもった彼らの、不思議なパーティ。勝利に酔う風でもなく、何か強い目的があるようでもない。ただ、不安そうに中をうろうろし、大音響で音楽をかけ、好きな服を盗み、食品を自由に食べる。

そして機動隊の突撃。彼らを一人一人殺してゆく乾いた銃の音が、頭の芯に残って離れない。見ている間中怖かった。映画が終わると、逃げるようにレアールの商店街を離れて地上に出た。

パリで6カ月過ごして無事だったが、最後に見る映画がこれとは思わなかった。前半は、若者たちにテロを仕込まれるパリの怖さ、宙ぶらりんの百貨店のパーティのあたりから、当局に狙われる怖さに代わり、最後は命を奪われる恐怖が支配した。これは、人間存在の根源的な不安に結びついている。

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