もう、映画を見るヒマもない:その(2)
前に書いたように、帰国までの日程がタイヘンなことになってきた。念願のシネマテークのノン・フィルム資料(つまり映画以外のポスターとかシナリオとか手紙とか)の倉庫で調査する段取りがついたが、自宅から遥か離れた郊外に近い場所に、朝8時半集合という。
さらにその日の昼間は、逆方向の16区のラジオ・フランスで生番組に出ることになった。まず、18区の郊外との境目にある倉庫街に行くのに、地下鉄で2回乗り換えて、1時間近くかかる。そこでウーバーを使った。
最近は普通のウーバーXではなく、乗り合いの可能性があるウーバー・プールを使っている。これまで2度使ったが、7割くらいの値段で一度も乗り合いはなかった。その日は余裕を持って、7時40分頃に呼んだ。
5分でやってきたが、「ディアナが近くで同乗する」。ディアナ(つまりダイアナ)と聞いて、美女が隣に座るかと一瞬喜んだ。10分ほどで彼女の指定した場所に着いたが、いない。運転手は彼女に3回電話し、10分ほど待ったが、結局現れない。諦めてようやく私の目的地へ。
結果としては8時半ちょうどに着いたが、急ぐ時にはユーバー・プールはダメだと実感。実は、それからが大変だった。ちょうど晴海のような倉庫街と思えばいい。トラックがどんどん過ぎるが、入口が全くわからない。先方から来たメール添付の行き方の地図をスマホに保存していたので、誰彼かまわずそれを見せて、10分遅れで何とか到着。
何を調べたかは後に書くとして、その倉庫の広さに驚いた。美術輸送などで知られるシェヌー社の倉庫だが、広い体育館のような場所に、段ボール箱が無限にある。新しい収蔵品が来ると、まずは簡単に分けて番号を打って所蔵目録を作る。次に中身を細かく見て、年代ごとや人物ごとに分けてゆく。そうして初めて研究者コーナー用のHPに登録される。
その日、巨大な倉庫で働いていたのはたったの5人。仕分けるのは主に映画に詳しそうな60代の男性2人で、それを女性3人がパソコンに入力していた。気の遠くなるような作業だ。
私の方は11時頃に抜け出してラジオ局にタクシーで行き、12時から12時半まで生中継に参加した。それからまたタクシー(これはラジオ局の手配)に乗ってとんぼ返りし、倉庫のそばでピザをオレンジジュースで流し込み、13時半過ぎに倉庫へ。
そして17時まで。帰りも倉庫近くにいたタクシーに乗ってしまった。パリに来て、もっとも疲れた一日だったかもしれない。
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