もう、映画を見るヒマもない:その(5)
パリ滞在のマイナス面を書き過ぎたので、よかったことも書いておこう。一番嬉しかったのは、友人たちと再会できたこと。32年前の留学時代の友人を始めとして、フランス国内とかドイツとかイタリアとかアメリカに住む友人たちとじっくり会えた。
ある種、これで青春時代の思い出をすべて再体験し、清算した感じ。もう一度会っておきたいなと思った人々にだいたい会えたので、思い残すことはない。もう死んでもいい。これで青春はおしまい。これからは余生のような気がしている。
留学時代から、映画を見ることと人と会う日程が重なった時は、いつも人を選んできた。今になると、それが自分の生き方だと思うし、それによって自分は仕事をしてきた気がする。単純に、どんないい映画を見るよりも、友人と酒を飲んでうまいものを食べて楽しく話す方が好きなだけかもしれないが。
今回はその分、研究の方が疎かになったのは、否定できない。本来ならば、国立図書館やシネマテークの図書館に毎日通い、資料を調べるべきだったのかもしれない。
人に会うのにも時間を使ったが、各地の映画祭に行ったのも大きかった。カンヌ、ボローニャ、ロカルノ、ベネチア。ボローニャは友人と会う方に主な時間を使ったが、あとはほぼフルに滞在し、各地で30本前後の映画を見た。
自分の課題の一つが、国際映画祭とは何か、日本映画はどのように海外で上映されるのかだったので、やはりこの機会に現場を見ることができてよかった。3つとも朝日のWEBRONZAに書いたし(ベネチアはまだか)、カンヌは「西日本新聞」、ロカルノは「アエラ」、ベネチアは「日経新聞」に書くことができた。
私の場合は、書くことでようやく考えることができる。だからこのブログを書いているわけだが、ボローニャの復元映画祭も含めて、映画祭について具体的な考察ができた。
今回は出発の前日までシネマテークの未公開資料を調べた。もちろん時間は足らないけれど、ある程度の足掛かりはつかめた。本当ならあと半年いたら、希望通りの調査ができたと思うけど、仕方がない。人脈も含めて目鼻はついたので、これから短期滞在で補うしかない。
そんなわけで、帰るのは嬉しいけど、滞在には大満足している。
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