パリのささいなこと:その(7)
映画祭の話ばかりで自分でも飽きてきたので、パリの話に戻る。最近気がついたが、ゴミ箱を漁る人が多い。前に書いたようにゴミは瓶、リサイクル可、そのほかの3つに分かれていて、それぞれ週に2、3回、回収車が来る。その日はアパートの管理人は表に大きなゴミ入れを出す。
すると回収車が来る前の時間に、ゴミ漁りの人々が回る。アパートは2Fなので、向かいのアパートの前に並んだゴミ箱に手を入れる人をよく見かける。見ていると、靴だったり、服だったり、まだ使えるものを取ってゆくようだ。もちろん30年前は見たことがない風景だ。
野宿している人もよく見かける。高架地下鉄の下のように、雨風がしのげる場所にテントを張っている。夏はいいが、冬はどうするのだろうか。見た感じでは、ジプシー(という言葉は使ってはいけないらしい。「ロマ」か)風の恰好が多い。
物乞いをする人がスーパーの前には必ずいる。「ボンジュール」と声をかけられて「ボンジュール」と返事をすると、その後がタイヘン。心が痛むが、聞こえないフリをする。貧しい人があちこちにいるのは、もちろん30年前と大違い。日本もそうだが、物乞いはない。
8月後半から夏休みで閉まっていた店がどんどん開き始めている。驚くのは半分くらいの店で、いつまで休みかさえ書いていないこと。書いていても、手書きの簡単なものが多い。「休むのは自由。開く時には開きます」と居直っているかのようだ。
こちらのレストランや床屋やクリーニング屋や魚屋などの店舗は日、月休みが多い。2日続けて休みだと、本当に困ることがあるが、そんなものだと思うしかないのだろう。
こちらに来て半年くらいたって、持って来たシャンプーや歯磨きや化粧水などが次々になくなりつつある。ホテルなどでガメてきたものを使っているが、もう限界。帰国時には捨てる覚悟で小さめのものを買い始めた。半年というのは、ちょうど買い替えの時期なのだと思った。あと半年いたら、こちらの商品で生きていくのだが。
そういえば、べネチアでゴミ回収車を見て驚いた。トラックに、巨大な鉄製の四角の回収箱をクレーンでぶら下げる。そして中身を出して、箱を元に戻す。何とも奇妙なシステムだが、これだとゴミ箱を漁ることは不可能だ。ゴミ処理はフランスとイタリアでも異なるようだ。
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