パリのささいなこと:その(6)
フランスの映画館は、上映直前にならないと入れない。だから15分前に着こうものなら、居場所もない。むしろ時間ちょうどに着くと、コマーシャルや予告編があるからちょうどいい。かと思うと人気のある旧作の復元版上映などは、長い列を作らせておいて、入れないこともある。
かつてはシネマテークが、入れないことがよくあった。人気のありそうな映画は1時間前に行って並んだが、入れないことも何度もあった。シネマテークがあったシャイヨー宮やポンピドゥ・センターで直前で断られて、大声で文句を言った記憶がある。
今は会員になれば、事前予約もできる。だからかつてのような「熱狂」は感じない。それになにより観客が高齢化している。春のジャン・ギャバンの特集などは平均年齢が70歳かとさえ思われた。日本のフィルムセンターも相当に高齢化しているけれど。
映画を見る環境は、パリは最高。13区の辺鄙な場所でも映画館がたくさんあって、徒歩15分以内に5、6館。シネコンも1つあるから、だいたいの映画は見られる。たまに古い映画を見にカルティエ・ラタンに行くが、これもバスで15分ほどで着く。
映画館では、支払いにできるだけカードを使う。大手シネコンは大丈夫だが、アート系は半々だろうか。
クリーニング店は、だいたい店の中で洗ってアイロンをしている。布団などは外に出しているようだが。だから季節の変わり目などは、量が多くて期限が守られないこともザラ。感じが悪くて高い店は止めて、翌日仕上がりの店にいつも出しているが、これが5日後にできていないこともある。
そんな時は申し訳ないと、洗って干したものを見つけてその場でアイロンをかけだす。5分後に出来上がるが、その間待つ列が増えても、そんなことはおかまいなし。
「待つ」ということが常態化している社会なのだとつくづく思う。だから私のような日本でもせっかちな人間は、ちょっとつらい。
先日、床屋さんのアポを1時間間違えた。1時間後に行ったら、大声で怒鳴られた。今回のパリで初めて人から怒られて、後になって何だか妙に嬉しかった。
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