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2016年10月 6日 (木)

パリは移動祝祭日:その(2)

パリで帰国直前に出た座談会について、忘れないうちにメモしておきたい。帰国4日前の17日の土曜日、「フランスにおける日本映画 過去と現在」の題でシネマテーク・フランセーズで開催された。これは「日本の銀幕」Ecran Japonaisと銘打った展覧会と上映会の関連企画。

もともとはこの10月に出るフランス初の「日本映画事典」の刊行に合わせて、編者のパスカル=アレックス・ヴァンサン氏がシネマテークに働きかけたことから始まったらしい。彼が選ぶ20本ほどの作品が上映されることが決まり、同時に「寄贈者ギャラリー」という常設展の一部で日本映画の展覧会もやることになった。

展覧会の方は、シネマテークの日本関係のものは大半が寄贈品だから、「寄贈者ギャラリー」で開催されたのだろう。とりわけ今回はヒロコ・ゴヴァースさん旧蔵のポスター・コレクションが目玉だった。今回の展覧会の隠れたテーマがゴヴァースさんであることは、彼女が黒澤明やシネマテーク創立者のアンリ・ラングロアと共に写っている写真が数枚あったことからも明らか。

そのほか川喜多長政・かし子夫妻の写真も何枚か展示されている。全体としては『地獄門』の衣裳など日本映画そのものの展示と同時に映画の日仏交流に尽くした人々の姿が見えるが、彼らについての解説はほとんどなかったのが残念。ちなみにこの展覧会には、前述のパスカル氏は関わっていないという。

座談会は、まず15時からパスカルさんの基調講演で始まった。これが45分のはずで本人も最初に絶対に時間通りに終わると言ったが、なんと1時間15分近かった。そもそも5分ほど遅れて始まったので、もう16時20分。

本来なら座談会も45分で16時30分に終わると聞いていたが、とんでもない。それからすぐに座談会が始まったが、これが17時45分頃に終わった。万事大ざっぱである。

そもそもパスカルさんの講演自体も、大ざっぱであった。中学生向けの作り話のように、フランスにおける日本映画の上映をめぐる話を楽しいエピソードを交えて話す。その中には私が数回会った時に教えたネタがいくつもあったが、彼自身が調査したようには思えない。そもそも彼は日本語は全くできない。

聞いていた私のフランス人の友人たちも「大衆向けの話」「自分が知っている70年代以降については間違いが多い」等々と語っていた。要はすべてが、パスカルさんが1990年代前半から勤めた「アライヴ」という配給会社がいかに日本映画の古典の商業公開に成功したかという体験談のための、前ふりのように見えた。

その後の座談会については、次の機会に書く。


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