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2016年10月19日 (水)

乗り気のしない東京国際映画祭:その(1)

また、東京国際映画祭が始まる。「映画祭評論家」としては行かねばならぬが、今年は乗り気がしない。理由は簡単で、この半年にカンヌ、ボローニャ、ロカルノ、ベネチアと映画祭に行ったから。復元した過去の作品を上映するボローニャは別として、ほかの3つでは30本前後も見た。

もちろん大半が世界初上映だから、いいか悪いかは各映画祭で選んだ人以外はわからない。まるで闇鍋をつつくようなもの。それを一日3、4本、多い時は5本も見る。お腹を壊すのは目に見えている。実際に今年のカンヌで、朝日の石飛記者や毎日の木村記者は、数日間下痢をしていた。

そうして、どれがいいの悪いのと騒ぐ。実は英語字幕でよくわかっていなくても。星取表さえもある。ところが審査員はそんなものは全く平気の平左で、印象で好き勝手に選ぶ。そんな騒ぎの何が楽しいのか。

映画館にかかる外国映画は、配給会社が日本の観客を考えて選んだものだし、日本語字幕もある。それで十分じゃないかとも思う。ただ、配給会社が公開は難しいと判断した映画でも、傑作があるのは事実。

私が行った今年の3つの映画祭で話題になった映画は、東京国際映画祭では「ワールド・フォーカス」という部門で上映される。確かにカンヌの『アクエリアス』と『シエラネバダ』『オリ・マキの人生で最も幸せな日』、ロカルノの『鳥類学者』と『グローリー』、ベネチアの『名誉市民』『サファリ』などは、劇場公開されない可能性が高いので、貴重な機会ではある。パリの劇場で見た『ノクトラマ』も抜群。

ただ、それらを見てしまった私としては、盛り上がらない。だからコンペ部門を中心に見るのだが、乗り気がしない。カンヌやベネチアのラインナップが発表された時の、「わっ、見たい」という気分が起こらない。いつもながら有名監督、あるいは通好みの監督の作品はなく、地味な感じ。ああ、今年もまた「我慢大会」かなと思う。

話は変わるが、この1年間、カンヌやベネチアやベルリンで日本映画がコンペに出ていない。朝日の佐藤記者がその理由や対策について書いていて、それなりにおもしろかった。そこで東京国際の矢田部さんが言っていた「世界的に映画が増えて、アジアまで手が回らないのでは」は事実だと思う。

ならばせめて東京国際ではアジアが中心になればおもしろいのに、今年もあいかわらず多くを欧州、中東が占める。これではカンヌやベネチアと変わらない。そのうえ、世界初上映が少なすぎる。いつも疑問なのは、この10年ほど毎年フランスとイタリアの作品が1本ずつあること。おおむね凡庸な作品が多い。

そんなこんなで、文句を言いながらも、また通うことになる。

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コメント

いつも楽しく拝読しています。
おなかを壊してしまうとのところ、なるほどと思いながら拝読しました。ただ、下痢をしていた記者達の名前まで公開する必要がないように思うのですが・・。
(公開されなくてもかまいません)

投稿: KAZUKO | 2016年10月19日 (水) 12時06分

KAZUKOさん、ご心配ありがとうございます。下痢をした石飛です。書かれることには慣れていますので大丈夫ですよ(笑)。ただ木村さんと私が下痢したのはたぶん映画のせいではなく、古賀さんと一緒に食べたイカのせいじゃないかなあと思います。二人がおなかをやられたのに、古賀さんだけがなぜか元気はつらつでしたね!

投稿: 石飛徳樹 | 2016年10月19日 (水) 18時49分

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