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2016年10月20日 (木)

日本映画事典が届いた

ここに何度か書いた、フランス初の日本映画事典が届いた。私はよく確認していなかったが、題名は Coffret L'Age d'Or du Cinema Japonais=「日本映画の黄金時代 1935-1975 ボックス」だった。そうか、最近の映画は扱っていないのかと、今頃になって知った。

黒い箱入りで、開けると分厚い表紙つきの本。ところが本の冒頭と終わりに3枚づつDVDが厚紙に挟み込んである。DVDだけを別にできない。これでは事典として使いにくい。図書館など、どうするのだろうか。箱の中でDVDと事典を別にすればよかったのに。

おかしいのは、ほかにもある。筆者は日仏にまたがるが、多くはフランス人。いわゆる大御所はゼロ。例えば、私が蓮實重彦さんと企画した、小津生誕100年や溝口没後50年の時に招待したフランスの批評家は1人もいない。ジャン・ドゥーシェとは言わないまでも、フロドンとかシムソロとかテッソンなどの日本映画通はいてもよかったのに。

フランス人で知っているのは、監修のパスカル=アレックス・ヴァンサンさん、日本文化会館のファブリス・アルデュイーニさん、「カイエ」誌などに書く評論家のステファヌ・ドゥ・メスニルドさん、日本語が堪能で60年代の日本映画論を出版したマチュー・カペルさんくらいか。いずれも、この2、3年か今回パリで出会った若い人々。

1人、私より年上の方がいた。黒澤明の通訳として有名なカトリーヌ・カドゥさん。こちらはもちろん20年前から知っているが、半分日本人のような方だ。

黒澤と言えば、日本人の筆者に野上照代さんがいたのに驚いた。日本人はほかにパリ在住で映画編集の渡辺純子さん(今回お世話になった)と、フランス在住の演出家、俳優のクロイ・オサムさん(面識がない)に、私。これはやはりヘンだ。映画史家や評論家として著名な方がいない。

もちろん、カトリーヌ・カドゥさんが書かれた黒澤明の文章は楽しみ。野上さんは誰について書いているのか、探しているがまだ見つからない。そもそも目次もないので、全部をめくって各文末のイニシャルを見るしかない。101人の監督が取り上げられているらしいが、目次がないからどの監督が載っているかもすぐにはわからない。巻頭には黒沢清の文章。

前に書いたように、私は1項目しか書いてないが、裏表紙には21名の筆者として同じように名前が載っている。見た目だけなら得した感じだが、この事典がフランスで批判されるようだと(大いにありうる)、カッコ悪いなとも思う。

それでも、フランスで日本映画事典ができたことを喜びたい。少なくとも、ファブリスさん、ステファヌさん、マチューさんはこれまでに書いたものを読む限り、十分に信頼が置けるし。後日、読んでから中身について書きたい。

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