パリは移動祝祭日:その(5)
朝方に、妙な夢を見た。私はパリのアパートにいて、マグリットの絵がパリ郊外のロバンソンに700点あるから見に来てくれと連絡があった。見に行ったら、そこはなぜか日本になったり、アメリカになったりした。
ロバンソンは、パリからRER高速郊外線で南に行ったところ。大学で最初にフランス語を教えてくれた、フランス人のB先生の実家があった。行ったこともあったが、「パリ郊外」とはこういうものかと思うほど、何もなかった。ロバンソンの名はそこから来たのだろう。
ところがそこには美術館はなくて、倉庫に作品が保管されているだけだった。これから美術館を作るが、建築費が足りないので、日本からの援助が欲しいと言われた。昔、何回となく聞かされた話である。
なぜマグリットか。かつてここに書いたように、20年ほど前に一番苦労した展覧会だったからだろう。今でもマグリットの絵を見ると、「これは小品」とか「似た絵柄でもっといい作品がある」とか思ってしまう。夢の中でロバンソンで見た作品は、小さいものばかりだった。リストをめくりながら、「これではいい展覧会は無理」と言った気がする。
マグリット展は、今回パリを去る直前にポンピドゥ・センターで始まっていたから、それが気になっていたのかもしれない。見ようと思えば見られたはずだが、「もうたくさん見たから、まあいいや」と諦めたのだった。
マグリットは日本にもアメリカにもたくさんある。確かヒューストンのメニル・コレクションにいい作品があったと思う。そんなこともあって、日本やアメリカの美術館が出てきたのだろう。
日本はなぜか一度しか行ったことのない、栃木県立美術館や群馬県立美術館が出て来た気がする。何度も行った美術館は覚えてしまって、かえって印象が薄いのか、この2つは行った時の様子を鮮明に覚えている。いずれも仕事の用事だった。
アメリカの美術館はどこかわからない。何となく西海岸だった気がする。それからまたロバンソンに戻ってきた。「もうすぐ日本に帰るから」とそればかりを気にしていた。
最近よく夢を見る。だいたいどこかでパリにつながっている。半年の滞在はそれほど大きかったのだろう。
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