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2016年11月 5日 (土)

映画以外の東京国際映画祭の話:その(2)

授賞式で最高賞のさくらグランプリを、審査委員長のジャン=ジャック・ベネックスではなく小池都知事が渡したと聞いて驚いた。審査をしていない者が渡すのは明らかにおかしいではない。そういえば、開幕式では安倍総理と経産大臣が挨拶していた。

世界の国際映画祭で、こんな政治家の登場は聞いたことがない。カンヌもベルリンも国や自治体が東京の何倍もお金を出しているが、開会式や授賞式には来ない。そんな暇がないからはなく、関係ないから映画祭側も声を掛けない。

首相や都知事をありがたがるほど東京国際映画祭はゴマすり根性なのかと思ったが、テレビなどで取り上げてもらえるからかもしれない。しかし授賞式後のパーティでは経済産業省の役人が挨拶をしていたから、日本の映画界はやはり「おかみ」を有難がる情けない精神構造なのだろう。

授賞式といえば、冒頭に「Arigato賞」なるものを妻夫木聡や高畑充希が受賞していた。これは映画祭の賞とは関係ないので、出品した監督や関係者には全くワケがわからないだろう。これまたマスコミ向けかもしれないが、フェスティバル・ミューズもそうだし、映画祭の本質以外に力を入れ過ぎているのではないか。

この映画祭にはそんな本末転倒が多い。日本のこの1年の話題作を集める「Japan Now」が去年から始まったが、プレス用の上映はなく、一般上映にはプレス枠がない。せっかく日本映画を見るチャンスなのにと知り合いのフランス人が怒っていた。

そもそもすべての一般向け上映にプレスや業界枠があるのが、世界の常識だ。一般観客を大事にするトロントや釜山の映画祭だって、プレスや業界関係者は早めに予約すれば一般上映に参加できる。地元の観客は大事だが、国際映画祭がまずプロフェッショナルのためにあるという根本を忘れている。

そういえば、今年はプレス・業界上映が始まってから10人前後の人々が入ってきて、実に邪魔だった。予約したが来ない人の分を上映開始時間まで待ってから、予約なしの人々を入れるらしい。去年までは予約していても5分前までに来ないと、キャンセル待ちを入れていたのに。毎回、始まってから5分近くもガヤガヤするのはたまらないし、何より映画に対して失礼だ。そもそもプレス上映に事前予約が必要なんて、ほかでは聞いたことがない。

Cinema Loungeは今年から椅子がなくなったことは書いたが、中盤からまた椅子が復活した。たぶん相当の抗議があったのではないか。

何十年もやっているのに、いまだに国際映画祭の基本ができていないのはどういうことだろうか。

付記:小池都知事が渡したのは都知事賞であり、最高賞はさくらグランプリではなく、東京グランプリだというコメントをいただいた。実は授賞式は途中まで中継で見ていたが、フィルムセンターに映画を見に行ったので、最後まで見なかった。お恥ずかしい限り。

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コメント

他の方からも突っ込みが入ると思いますが、ジャン=ジャック・ベネックスは最高賞のトロフィーをきちんと渡していました(映画祭ウェブサイトの授賞式の動画でも確認できます。あと今は最高賞は『さくらグランプリ』ではなく『東京グランプリ』です)。都知事が渡したのは都知事賞です(都知事賞の良し悪しはともかくとして)。

投稿: いつも拝見しています | 2016年11月 5日 (土) 10時21分

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