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2016年11月23日 (水)

多くを見ていた東京フィルメックス:その(1)

今年は東京国際映画祭もそうだったが、東京フィルメックスも既にカンヌやベネチアなどで見た作品が多い。特別招待作品は5本のうち4本を見ていたし、クラッシック部門も昔見たものを入れたら、5本のうち4本もある。さすがにコンペでは10本のうち1本だけだが。

特別招待作品は、カンヌで見たのがリティ・パンの『エグジール』で、そのフランス的な抽象的なアプローチに正直なところこの監督の映画はもういいと思った。別の意味でもう見たくないと思ったのが、ベネチアの新部門「公園の映画」オープニングの『網に囚われた男』のキム・ギドク。何ともあざとい。

素晴らしいと思ったのは、同じくベネチアに出たワン・ビンの『苦い銭』とアミール・ナデリの『山<モンテ>』。すでにここに書いたから繰り返さないが、『苦い銭』は若手中心の「オリゾンティ」部門だったし、『山』は「監督ばんざい賞」の特別上映だったので、東京国際映画祭のコンペにあったらすごいのにと、今頃になって思う。

「クラシック」ではこれまたベネチアで『ざ・鬼太鼓座』を見た。それから30年ほど前に見たのが、エドワード・ヤンの『タイペイ・ストーリー』とキン・フーの『侠女』に『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』。今回は『タイペイ・ストーリー』は見られそうだが、『侠女』と『残酷ドラゴン』は見られない。

いずれにしても、これだけのビッグ・ネームが揃えられるのだからたいしたものではある。会場で会ったプロデューサーのOさんは「フィルメックスは、東京国際映画祭のなかの「ある視点」になればいいのに」と言っていた。全く同感。

いずれにせよ、今年のフィルメックスは私にとって新鮮味がない。そのうえ、上映前のCMに北野武が例年以上に出てくる。まずカップヌードルがあり、アサヒ飲料のWANDAが2種類。そして嫌な感じのエールフランスの後に、ソニー生命が2種類にDMM。つまりたけしが5回も出てくるのだから、いくらスポンサーでも多すぎる。

もちろん、カンヌやベネチアでは上映前のCMはないし、東京国際映画祭では上映前の空き時間にコソコソとやっている。財政的に大変なのはわかるけれど。

さてコンペはどうかと言うと、ベネチアでの監督週間で見たミディ・ジーの『マンダレーへの道』は傑作だし、中国のチャン・ハイ監督の『よみがえりの樹』もなかなか。こちらはジャ・ジャンクーのプロデュースだが、数年前に亡くなった妻が息子の体に乗り移り、やりたかったことをかなえてゆくという異色の物語。

山間部に住む中年のさえない男が、妻の言うままにあちこちを息子になった妻ととぼとぼ歩くさまがいい。やぎになった両親に会いにいったりと、だんだん輪廻的になってくる。地味な映画だが、味わい深い。東京国際映画祭に倣って星をつけたら、★★★。

ついでに『マンダレーへの道』は★★★★。だいぶ前に見たから自信はないが。いずれにしても、かつてはフィルメックスの方が圧倒的におもしろかったが、今では作品数が少ないだけで、レベルはあまり変わらないか。


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