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2016年12月26日 (月)

『土竜の唄 香港狂騒曲』の客層

毎年のことだが、「正月映画」はどうも見る気がしない。いかにも「ある客層」を狙っている気がして、私は違うと言いたくなる。そこでちょっと外した映画はないかと考えて、三池崇史監督の『土竜の唄 香港狂騒曲』にした。

見たのは、TOHOシネマズ日本橋で、最近は一番行くシネコン。新宿や六本木のシネコンに比べて地下鉄の便がよくて近いし、1つか2つかのエレベーターで待つストレスもない。何よりも、場所柄か客層が落ち着いていて、そのせいか直前の予約でも席がある。

ところがこの映画は違った。150席ほどの小さいスクリーンなのに、上映中にトイレなどで席を立った客が10人はいた。大きなポップコーンと飲み物をを持って入って来た、私の真後ろの若いカップルはすさまじかった。

ポップコーンをむしゃむしゃ食べる音も大きかったが、手にはいつも紙袋を持っていて、カシャカシャ音がする。ある時、「ザザザー」と音がすると思ったら、紙袋に入れていた別のスナックをポップコーンの紙ボウルに移し始めた。どうも、ポップコーンを食べ終えて別の菓子を補ったようだ。

それから話し声が聞こえたと思ったら、男が出て行って数分後にまたポップコーンと飲み物を持って戻って来た。さらに女が席を立ち、紙ボウルや飲み物のカップを両手に持って捨てに行った。

私の右横の中年男性もすごかった。コンビニのビニール袋にいくつものお菓子を入れて入ってきた。ヤバイなと思ったが、案の定、次々に開けて食べ出した。ある時、音がしなくなったと思ったら、「グー」と大きな鼾をかいて寝始めた。さすがに肩を叩いて起こしたが。

この映画のどこかそんなにバカな客を寄せ付けたのかわからない。確かに意識的なB級映画で、お茶の間のテレビ番組的な気楽さ、安易さはある。見ていてありえない馬鹿馬鹿しいおかしさというか。しかし最後まで見ていると、その馬鹿馬鹿しさが三池崇史特有のシュールさにつながっていって、それなりに魅力はあった。

香港を舞台に、世界中の富豪が集まって美女のオークションをやるという設定が、何ともキッチュ。そこに日本のヤクザの愛娘(本田翼)が運び込まれ、モグラ刑事の生田斗真が救うべく戦う。最後に高層ビルから飛び降りる時に巨大な虎が現れるシーンなど、本当におかしかった。

これはシリーズ第二弾で最初の映画も見ていたが、あのトンデモ客たちを考えたら、次は見たくなくなった。

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