『土竜の唄 香港狂騒曲』の客層
毎年のことだが、「正月映画」はどうも見る気がしない。いかにも「ある客層」を狙っている気がして、私は違うと言いたくなる。そこでちょっと外した映画はないかと考えて、三池崇史監督の『土竜の唄 香港狂騒曲』にした。
見たのは、TOHOシネマズ日本橋で、最近は一番行くシネコン。新宿や六本木のシネコンに比べて地下鉄の便がよくて近いし、1つか2つかのエレベーターで待つストレスもない。何よりも、場所柄か客層が落ち着いていて、そのせいか直前の予約でも席がある。
ところがこの映画は違った。150席ほどの小さいスクリーンなのに、上映中にトイレなどで席を立った客が10人はいた。大きなポップコーンと飲み物をを持って入って来た、私の真後ろの若いカップルはすさまじかった。
ポップコーンをむしゃむしゃ食べる音も大きかったが、手にはいつも紙袋を持っていて、カシャカシャ音がする。ある時、「ザザザー」と音がすると思ったら、紙袋に入れていた別のスナックをポップコーンの紙ボウルに移し始めた。どうも、ポップコーンを食べ終えて別の菓子を補ったようだ。
それから話し声が聞こえたと思ったら、男が出て行って数分後にまたポップコーンと飲み物を持って戻って来た。さらに女が席を立ち、紙ボウルや飲み物のカップを両手に持って捨てに行った。
私の右横の中年男性もすごかった。コンビニのビニール袋にいくつものお菓子を入れて入ってきた。ヤバイなと思ったが、案の定、次々に開けて食べ出した。ある時、音がしなくなったと思ったら、「グー」と大きな鼾をかいて寝始めた。さすがに肩を叩いて起こしたが。
この映画のどこかそんなにバカな客を寄せ付けたのかわからない。確かに意識的なB級映画で、お茶の間のテレビ番組的な気楽さ、安易さはある。見ていてありえない馬鹿馬鹿しいおかしさというか。しかし最後まで見ていると、その馬鹿馬鹿しさが三池崇史特有のシュールさにつながっていって、それなりに魅力はあった。
香港を舞台に、世界中の富豪が集まって美女のオークションをやるという設定が、何ともキッチュ。そこに日本のヤクザの愛娘(本田翼)が運び込まれ、モグラ刑事の生田斗真が救うべく戦う。最後に高層ビルから飛び降りる時に巨大な虎が現れるシーンなど、本当におかしかった。
これはシリーズ第二弾で最初の映画も見ていたが、あのトンデモ客たちを考えたら、次は見たくなくなった。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 『バーニング』の強さ(2019.02.04)
- 『シュガー・ラッシュ:オンライン』を見る(2019.01.09)
- 学生の映画祭も8年目:その(5)(2018.12.20)
- 『マルクス・エンゲルス』に考える(2018.05.17)
- 『ジャズ娘誕生』につめかける人々(2017.05.25)
コメント