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2016年12月 4日 (日)

眠りについて:その(2)

昔は眠れなかった。朝方まで起きていたり、朝早く起きて眠れなくなったり。15年ほど前に安藤忠雄さんと横尾忠則さんの対談を企画した時、おふたりが控室でずっと「いかに眠るか」について話し込んでいたのを思い出す。その時出た話題が「睡眠薬は慣れるとダメ」というものだった。

当時勤務していた新聞社では、海外出張の時に社内の医局に睡眠薬を頼むと、「ハルシオン」という薬を出してくれた。最初に飲んだ時は、飲んだとたんに寝てしまい、気づくと目的地に着いていた。夜に着いた時は、軽く食事をした後に飲むと、翌朝までぐっすりと眠ることができた。

一時期は出張のたびに頼んでいた。余った分をパリに住む友人に渡すと喜ばれた。ところがだんだん効かなくなった。飲んだのに、あまり効果がない。5年ほどたった頃、高名な美術評論家が「メラトニン」の飲み過ぎで車椅子生活になったと聞いて、止めた。

「メラトニン」は主に時差ボケに効くとされていて、日本では認可されていないが、アメリカでは普通に薬局で買えると聞いた。「ハルシオン」は処方があれば、日本でも出してくれる。系統が違うようだが、どちらにしても怖くなった。安藤さんと横尾さんの話で出てきたのは、「メラトニン」だったと思う。

そのうえ、「ハルシオン」の処方箋には「お酒の前後に飲んではいけません」と書いてあった。私は飛行機で酒なしではいられない。海外に行く時は昼間でも酒を飲む。どちらかを選ぶ必要があると思って、薬を止めた。

自宅にいると、酒の飲み過ぎはむしろ睡眠を妨げる。深酔いするとすぐ寝るが、2時間ほどで起きてしまう。飛行機も同じだが、いいのは酒を飲むと時間が短く感じられること。時間の感覚がマヒして、1時間くらいあっという間に過ぎる。

飛行機では酒は無料だから、なおいい。ビールとワインならばいくらでも飲める。だから条件反射のように、飛行機に乗ると酒を飲む。

ところが最近、飛行機の時間が短く感じるようになった。欧州までの12時間があっという間だ。酒を飲む量は減ったのに。これはなぜかわからない。そもそも日本にいても、時間が早く過ぎるようになった気がする。50も半ばになるとある種の「鈍感力」が出てきて、時間はすぐ過ぎるし、不眠も気にならなくなっているのだろうか。

今では眠れない夜はまずない。あっても、それが気にならなくなった。

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