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2016年12月13日 (火)

デザイナー・ノスタルジア:その(2)

「印刷予算4倍事件」で異動になって配属されたのは、地方の国際交流を推進するという何をやったらいいのかわからない部署だった。そこに友人の冨田三起子さんから持ち込まれたのが、レンフィルムという旧ソ連の撮影所の回顧上映だった。

姉妹都市など全国各地でソ連に関心を持つ自治体に話を持ち掛けて、予算を出し合う形で企画は成立した。「レンフィルム祭」と銘打って20本ほどの映画を上映したが、その時にチラシやカタログのデザインを頼んだのは、工作舎という出版社。そこの宮城さん、原さんというデザイナーがずいぶん凝ったカタログを作ってくれた。

和英完全並記で160頁。今見ても立派なカタログだが、私にとっては英語の並記もこれほどの頁数も初めてで苦労した。幸い工作舎の編集者に助けてもらったのでできたが、GWもすべて出勤して作ったのをよくおぼえている。この企画は新聞社にも加わってもらい、後にそこに転職するきっかけとなった。

この企画が終わって、頭を冷やして来いとパリで3ヵ月語学研修をすることになった私は、このカタログをパリのいくつかの映画専門の書店に置いてもらった。当時はそれくらい自信があった。

「レンフィルム祭」からほぼ1年後に転職した私は、進行中のいくつかの展覧会を手伝わされた。その中で一番覚えているのは「ルネ・マグリット展」。以前仕事をした矢萩喜重郎さんにチラシやカタログのみならず、展示デザインもお願いした。

矢萩さんは大乗り気で、事務所にマグリットのあらゆる本を集めて、デッサンを抜き出したり、手書きの手紙を入れたりした。何日も彼の事務所で過ごしたのは楽しかった。このカタログは講談社のブックデザイン賞をもらったはず。

展示デザインもお願いし、マグリットのパイプの形で造形を作ったりしたが、こちらは著作権者が了解をせず廃棄となった。費用を負担した会場の新宿三越には悪いことをしたと今でも思っている。

新聞社でゼロから企画を立ち上げたのは、映画生誕百年の企画。リュミエールとメリエスの映画を上映し、日本での映画の輸入をめぐる「映画伝来」という展覧会を作った。

リュミエールとメリエスの上映会のチラシやカタログは、雑誌のデザインで名を馳せていた木村裕治さんにお願いした。リュミエールのカタログは和仏並記の176頁で、セロファン紙などを使った豪華な装丁だった。こちらは映画史的にも新しい発見がいくつかあったので、今でも海外の論文などで引用されている。

この春から秋にかけてパリにいた時に、レンフィルムやリュミエールのカタログがシネマテークの図書館に並んでいるのを見て嬉しかった。英語や仏語の完全並記は、後にも先にもこの2冊だけだが、やっておいてよかった。

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