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2016年12月19日 (月)

アピチャッポンからマリメッコへ

学生の映画祭で渋谷の映画館に通っていたが、空いた時間に近くの展覧会を見た。1つは恵比寿の東京都写真美美術館で1月29日まで開催の「アピチャッポン・ウィーラセタクン 亡霊たち」展。

美術館前には、「TOP MUSEUM」と大きく書いてあって恥ずかしい。リニューアルする前は、Tokyo Metropolitan Museum of Photographyだったのが、Tokyo Photographic Art Museumに変わり、略称がTOP MUSEUMという。略称のために英語名まで簡単に変えるとは。Photographic Artという表現もたぶんうまくないし。

Photographic Artにしたせいか、この前の特別展は杉本博司の奇妙なインスタレーションだったし、今度はタイの映画監督アピチャッポンの展示。今度はそれなりにおもしろかったけど、残念ながらその体験の密度は彼の映画1本を見ることに比べたら、何でもない。

タイの田舎の人間たちが、動物、自然、土、花火、遺跡、歴史、記憶などの幻影に囲まれて生きている。それを写真や数分のビデオで見せる。どれも断片でしかない。時おり、切なさや寂しさやノスタルジアを感じるものもあるけれど。

彼の映画を見た時の、人間も動物も今世も来世もつながってゆく、壮大な輪廻のような世界に巻き込まれる感動はない。よくある「ちょっとおもしろい現代美術の映像作品」に見えてしまう。

映画監督がこうした映像展示をやるのは、ラース・フォン・トリヤーもペドロ・コスタも見たけれど、あまり感心しない。唯一、グリーナウェーのみが映画よりもいいと思った記憶がある。

2月12日まで開催の文化村の「マリメッコ」展も、美術展ではなくファッション・ブランドの展覧会。こちらは逆にかなり見ごたえがあった。鮮やかな花のデザインなどで有名なフィンランドのブランドだが、私は「マリメッコ」というデザイナーがいるとばかり思っていた。

「マリメッコ」とは、フィンランド語で「マリーのドレス」を意味するという。さまざまなデザイナーがいて、フランスやイタリアのファッションよりもちょっと野暮ったい、だけど可愛らしいドレスを作っている。エスキモーとかにも通じるようなアジア的な感覚があるなと思ったが、70年代からは日本人のデザイナーも参加していると知った。

フィンランド人のデザイナーは歴代すべて女性で、加わった日本人2人は男性というのも興味深い。フィンランドはこの夏に行ったけれど、確かにパリから行くと日本的な懐かしさが感じられる街だった。

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