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2016年12月21日 (水)

宗教はビジネスか:その(1)

「宗教映画祭」で山本政志監督の『水の声を聞く』(2014)を見て思ったのは、こんなに簡単に宗教団体を作れるのかということだった。そこで、「宗教映画祭」のパンフにも書いてもらった島田裕巳さんの『新宗教ビジネス』などを読んでみた。実は前から買ってあったが、読んでいなかった。

『水の声を聞く』では、小遣い稼ぎで巫女を始めた在日韓国人のミンジョンが、「真教・神の水」の教祖になってしまうさまを描いている。最初の方に電通の封筒のロゴが写るし、中盤では汐留の実際の電通本社内での打ち合わせまで出てくる。つまり、「ウラで電通が仕切る」という構造が示されている。

この映画のおもしろいのは、ミンジョンの父親が借金取りに追われてヤクザに脅されており、それが最後には電通と一緒になってミンジョンをはずしたもう一つの宗教団体を作るところまで行ってしまうところだ。山本監督らしいアンダーグラウンドな世界や韓国の土俗的な宗教が、最初から垣間見えて独特の雰囲気をを作る。

この映画では電通の社員2名がウラで仕切る。そして想定外のヤクザの介入も使いこなす。さて、宗教団体は本当に電通やヤクザにつながっているのか。この映画では、そもそも信者から金を集めるシーンは皆無だし、巫女の話す原稿を作る以外に、電通社員が活躍する場面はほとんどない。

本当の宗教団体はどうお金を集めているのか。『新宗教ビジネス』はオビに「新宗教はどんなテクニックで金を集めるのか?」と書かれている通り、そのものずばり答えてくれる。ちなみに「新興宗教」には胡散臭い否定的な感じが伴うため、最近では少なくとも大手の団体は専門家も「新宗教」と呼ぶようだ。

新宗教のなかでも最大の規模で、豊富な資金力を持つ創価学会のビジネス・モデルを島田氏は「ブック・クラブ」型と名付ける。創価学会には会費がない。だからこそ、戦後に地方から都市部に大量に流入してきた中下層の庶民を惹きつけた。

その代わりに作ったのが、1951年に始まった『聖教新聞』。最初は5000部の旬刊だったのが、週刊となり65年には日刊となった。現在では公称で550万部というから、読売や朝日よりは少ないが、毎日や産経よりも多い。

発行するのは聖教新聞社だが、これは創価学会の出版部門なので、全体としては企業法人税を払わないですむ。機関誌の発行と販売は収益事業なので法人税を払うが軽減されている。

会員の実数は250万人ほどなので、2、3部買う家庭もあるようだ。さらに青年部の月2回の『創価新報』とか『グラフSGI』とか池田大作の『人間革命』シリーズとか山ほどあって、信者はこれらを進んで買う。つまりは新聞社+出版社+布教という何ともうまい仕組みが「ブック・クラブ」。いやはや。

ほかの団体のビジネスモデルは後日書く。

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