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2016年12月 7日 (水)

意外によかった『聖の青春』

将棋の映画と聞いて、『聖の青春』を見る気がしなかった。囲碁、将棋は皆目わからないから。ところが見た人の評判がかなりいい。上映が終わりそうなので、慌てて出かけた。

実は「聖」を「ひじり」と思っていた。チケットはネットで買うので、窓口で恥をかくことはなかったが。「聖」は村山聖8段の「聖」で「さとし」と読む。

出だしはダメだと思った。ゴミ捨て場に寝ている松山ケンイチ演じる村山聖が、大阪の将棋会館に運ばれて、試合に挑む。そしてマンガ好きなために別の試合に遅れそうになる。何だか全体にわざとらしい。

よくなるのは、東出昌大演じる羽生善治が出てきてから。これがもうそっくりで、びっくり。試合の後にぼそぼそと感想を言い合うシーンあたりで羽生か東出かわからなくなる。

村山は羽生に大阪で負けて、上京する決心を決める。そして東京で一度勝ち、終盤で負ける。計3回戦うけれど、特に3回目がいい。2人とも疲労困憊で頭がおかしくなる直前なのがキリキリと伝わってくる。

試合と共に良かったのは、2人だけで小さな店で飲むシーン。趣味の話など全く一致しないけれど、「負けたくない」という点だけは共通していた。

全体としては演出は少し甘いかもしれない。師匠役のリリー・フランキー、弟子役の染谷将太、母役の竹下景子など名脇役が揃っているが、いささかヒューマニズムに流れ過ぎか。スローモーションを多用したり、2人だけの飲み会のシーンをもう1度回想で見せたりと安易に情緒に流れる。

思い出したのは、文化部記者時代に囲碁の全国大会の取材を手伝わされたこと。市ヶ谷の日本棋院で対戦につきあって、結果を出稿するのだが、どちらが勝ったかさえわからない。しかたがないから、試合が終わった2人に「どちらがどのように勝ちましたか」と聞いて「秋田県の田中○○さん、中押し勝ち」などとメモする。

これには選手も笑っていたが、仕方がない。もちろん素人記者がやるのは2回戦くらいまでだったと思う。囲碁といえば、田壮壮監督の『呉清源~極みの棋譜』という中国映画は傑作だった。この映画をもう一度見たくなった。

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