年末年始に考える:その(4)
年末に映画館で妙なものを見た。開始直前に大声で「ここはJ列ですよね」と叫ぶ中年男がいた。そんなことは、普通は人に聞かずに自分で探すものだが。誰かが小さな声で「そうですよ」と言うと、その男はずいぶん大きな鞄を文字通り振りかざして、みんなの手や足にガンガン当てながらお詫びも言わずに中に押し入った。
どんな奴だと顔を見たら、何と同業者、つまり大学で映画を教えている人間だった。私は思わず目を反らした。とても恥ずかしくて見られなかった。
別に映画の先生だから、映画の観客としての礼儀作法をよくしろというのではない。単に人間はある年になったら、自分が見られていることを意識しないといけないということだ。
そんな無粋な知り合いに偶然会うことが年末に多かった。学生の映画祭に取材と称してやってきたライターの中年男は、実は私の学生時代の知り合いだった。同じ大学ではないが、学生の時に知り合って何度か飲みに行った。出版社に勤務後、ライターになったはず。今は、どうも映画界での評判はあまりよくないと、劇場の方に聞いた。
同じ学生の映画祭では、初日に予想以上の混雑により上映時間が遅れたうえ、映写トラブルまであって、1回目の上映が20分ほど遅れた。これは劇場側の問題ではあったが、もちろん映画祭の主催者としては、申し訳ないの一言しかない。
ところがその後、この件に関してネット経由で抗議があった。非はこちらにあるので全く弁解の余地はないが、先方の抗議の仕方が少し気になった。名前を見ると職場名まで書いていあり、それは私の知り合いだったことが判明した。
3人とも私と同世代。50も半ばになれば社会的な立場もあるし、知り合いも多い。だからせめて人目につくところでは、品よくありたいと思った次第。
とはいえ、このブログを前からお読みの方はおわかりと思うが、私も年に1度くらいはクレイマーと化す。1年ほど前は、池袋西武の「コーチ」とやったし、パリではエールフランスに噛みついた。かつてはKLMとか東芝とかいろいろあるので、全く人のことを言えた話ではない。
考えてみたら、大学の教師はこちらが覚えていなくても、向こうが顔を知っている場合が多い。毎年新しく300人ほどには教えるのだから、私の顔を知っている学生や卒業生はどんどん増えてゆく。そのうえ、とにかく「先生」だから。とりあえず、人前でのクレームは止めようと思った新年である。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 飛行機のトラブル(2026.09.07)
- 美術と映画をめぐって(2026.08.26)
- 本を売る(2026.08.20)
- 人生の僥倖(2026.08.09)
- いつの間にかイタリア映画の専門家に(2026.08.07)


コメント
息子が小さい頃、取り込んだ洗濯物の横で遊んでいました。女房のパンツを頭にのせて、這い這いしているのを見て、飲みすぎて記憶がなくなることがないようにしようと思いました。
投稿: jun | 2017年1月 7日 (土) 12時14分