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2017年2月 7日 (火)

どこかおかしい『ザ・コンサルタント』

パリから帰国して4ヵ月が過ぎたが、まだどこか落ち着かない。そのせいか、あまり考えずに映画を見に行ってちょっとはずれのことも多い。公開中のギャビン・オコナー監督『ザ・コンサルタント』もそんな1本。

予告編を見た時に、田舎の会計コンサルタントの本業が実は腕利きの殺し屋という設定に惹かれた。もともとこうした陰謀ものというか、裏社会の話は大好きだ。そのうえ、演じるのがベン・アフレックなら間違いがなさそうだと思った。確か「読売」の映画評でも絶賛していたし。

そこそこの映画ではあった。ベン・アフレック演じる有能な会計士ウルフには裏の顔があって、犯罪者らの裏帳簿を仕切る。さらに必要とあらば、自らが殺しに手を出す。ある時、大企業の財務調査を引き受けるが、秘密を暴いた時から何者かに狙われる。

一方で、不思議な殺人犯を追う財務省の局長(J・K・シモンズ=『セッション』の鬼教師!)とそのアシスタント。アシスタントの必死の追求で、ウルフの姿が浮かび上がる。

こう書くと本当に面白そうだが、微妙に無理がある。財務省の局長が、財務調査で銃を持って殺人の現場に行くだろうか。局長がアシスタントに無理を言って会計士を探させるが、そのために彼女の経歴詐称を知って脅すことがあるだろうか。

最大の失敗は、会計士は子供の頃は自閉症であり、すべてはそこから来ているというもの。冒頭にそのシーンがある。自閉症の子供への温かい眼差しは結構だが、その「多様性」容認がドラマの根本に大きく横たわっていたのは、「詰め込み過ぎ」ではないか。

「詰め込み過ぎ」といえば、朝日の石飛記者が『映画芸術』でワースト3を選んで、そう表現していた『湯を沸かすほどの熱い愛』『怒り』『君の名は。』についてだったが、「詰め込み過ぎ」で「暑苦しい」と書いていた(と思う、手元に雑誌がないので)。とりわけ『湯を沸かすほどの熱い愛』については、ありえない場面をいちいち列挙していたが、『ザ・コンサルタンツ』もそんな感じか。

そういえば、この映画ではルノワールとポロックの絵が重要な役割を果たす。ルノワールの名前は誰でも知っているが、使われていたのは、少女や裸婦などの典型的ルノワールの絵ではなかった。ポロックはいかにも彼の絵だったが、日本でもアメリカでもこの映画を見る一体何割がジャクソン・ポロックの名前を知っているだろうか。あの絵を見てポロックとわからなければ有難味は半減する。そんなところにも甘さがある。

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» 映画:コンサルタント The Accountant キャラと役者のミスマッチぶりを自虐ぎみに楽しむしかない... [日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~]
まずビビるのが、主演= ベン・アフレック!だってこの主人公役、頭キレっキレっの「敏腕会計士」、かつ冷酷非情な「殺し屋」彼は 元々、2回ほどひんしゅくを買うような行動に出、世間から大批判を浴びる存在(笑) 1.まずは、結婚しかかったジェニファー・ロペス、...... [続きを読む]

受信: 2017年2月 7日 (火) 23時58分

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