« イタリアで「鋼鉄ジーグ」とは | トップページ | 定年の話 »

2017年2月26日 (日)

『全裸監督』にのけぞる:その(1)

「ナイスですね」という言葉がある。実は私も前はよく使ったが、てっきり長嶋茂雄・元巨人監督の発言から生まれたと思っていた。ところがこれはAV監督として名高い村西とおるの言葉だということを、本橋信弘著『全裸監督 村西とおる伝』を読んで知った。

オビに「人生、死んでしまいたいときには下を見ろ!おれがいる」と書かれているが、まさにその通りでとんでもない本である。700頁を超す大著だが、読みだしたら止まらず、一日で読んでしまった。

村西とおるという名前は、80年代から90年代初頭の頃、AV監督で「ハメ撮りの帝王」としてよく週刊誌を賑わしていた。この本は、それ以前の英会話教材販売、ビデオゲーム営業、裏本販売の時代から破産を経て現在に至るまでを、彼の言葉や同業者の証言とともに詳細に描く。

「ナイスですね」だけではなく、「ハメ撮り」も村西が考案したものらしい。彼の発案になるものは多い。「駅弁」もそうだ。彼は福島の高校を卒業して1967年に上京する。そして池袋のバー「どん底」で働く。そこでは女性客が気に入ったホストを連れ帰ることがあった。

ある日、50前後の華道の先生の家に行くと、性交中に立って歩かされた。そして「駅弁、駅弁」と叫べと頼まれる。後で聞いてみると、彼女の亡き夫は駅で駅弁を1日150個売っていたという。「このとき以来プライべートで駅弁することがあったけど、AV監督になって、よし、これでやってみようって」

「顔面シャワー」も彼の考案による。1985年、那須高原で『女教師、生徒の前で』を撮影中に、男優がスケジュールの都合で帰ったために、助監督に演じさせた。「神崎真弓の口舌テクニックは抜群で、早漏気味の助監督は口の中で暴発しそうになった。「あっ、やばい!」助監督が叫んだ」

結局時間に余裕がなくこのシーンをそのまま使ったら、注文が殺到した。「まだ真性の肉交が珍しかった時代において、口中で発射するのは、極めて珍しいシーンだった。/問屋筋から、またああいうの撮ってよ、というアンコールが相次いだ。/日本のAV最大の特色である‟顔面シャワー”のきっかけだった」

こう書き写していると、また村西の驚異的なパワーが乗り移ってくる感じがする。彼がいかに警察に金を握らせて逮捕を逃れていたかなど、さらにおもしろい細部は後日。

|

« イタリアで「鋼鉄ジーグ」とは | トップページ | 定年の話 »

映画」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/537538/64942037

この記事へのトラックバック一覧です: 『全裸監督』にのけぞる:その(1):

« イタリアで「鋼鉄ジーグ」とは | トップページ | 定年の話 »