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2017年2月12日 (日)

古唐津を楽しむ

私は陶芸の展覧会はあまり見ない。見ても、ありがたみがわからないから。出光美術館で始まったばかりの「古唐津」展を見たのは、「岩佐又兵衛]展を見に行ったら、いつの間にか終わっていてこの展覧会が始まっていたから。チケットを買ってから「あら、違う」と気がついた。

どうもまだパリぼけが続いているようだ。しかしこれが存外におもしろかった。実は古唐津を「こがらつ」と読むことさえ知らなかったけれど。

古唐津は、安土桃山時代、戦国時代の武将が朝鮮半島から連れてきた朝鮮人陶工によってはじめられたという。展覧会には朝鮮陶磁も数点展示してある。さらに同時代の美濃焼の織部や志野も数点展示してあって、外国と国内の両方の強い同時代性を感じるように工夫されている。

古唐津にはいくつか種類がある。「朝鮮唐津(ちょうせんがらつ)」は、褐色に白が流れるような素朴な感じ。水指とか湯呑とかの大きな模様は、今でも茶道具などに見かけるが、何とも親しみやすい。トンカツのタレ入れにこの模様をよく使う気がするが、違うか。

「奥高麗(おくごうらい)」は、模様のない濃いクリーム色の茶碗が多いようだ。こちらは素人目にはもっと高級に見える。私などはよく見ないと有難味がわからない。

「絵唐津(えがらつ)」は、文字通り絵を描いたもの。草花や動物などがさらりと描かれている。その洒脱な禅的な感じはいかにも余裕がある感じで、日本的な優雅そのもの。大きな皿に黒で描かれた松や柿を見ると心が安らぐ。

そういえば一点だけ屏風が展示してあった。長谷川等伯の《竹虎図屏風》だが、同じ安土桃山時代というだけでなく、そこに流れる竹を前にした2匹の虎の雰囲気には、「絵唐津」と通じる遊びがある。

ほかにも「黒唐津」や「斑唐津」などいろいろ種類がある。朝鮮から来た陶工が始めたとは言え、九州の唐津のような辺鄙な田舎でこんな高級品を作っていたとは驚きだ。そしてこの時代には全国の武将や茶人に愛されていたことも、文化のレベルの高さを物語る。

私は九州の生まれのせいか、最近、朝鮮半島や中国大陸に何かルーツのようなものを感じることが多い。その意味でもこの展覧会はおもしろかった。3月26日まで。

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