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2017年2月 3日 (金)

『島々清しゃ』から無声映画の和洋合奏へ

進藤風監督の『島々清しゃ』(しまじまかいしゃ)を劇場で見た。好意的な映画評が出ていたし、監督が新藤兼人の孫娘というのにも興味があった。何より、沖縄で撮った低予算の映画は妙に好きだ。

『ナビィの恋』も『ホテル・ハイビスカス』も、少し前だが『ウンタマギルー』も、沖縄で撮られたインディペンデントの映画はなぜかしっくりと来る。私の南の血が騒ぐのか。

『島々清しゃ』は、それらの名作に比べると、パンチ不足に思えた。舞台は沖縄の慶良間諸島で、都会からふわりと来た安藤サクラ演じるバイオリン奏者が、吹奏楽部の小学生たちと仲良くなり、一緒に演奏する。

実は安藤サクラが写った瞬間から、ちょっと引いた。演技派で知られる彼女だけに、妙な雰囲気が出てしまう。そのうえ、中心となる少女うみ(伊東蒼)も演技がうまい分どうしても沖縄の子供に見えない。彼女が冒頭で米軍飛行機の騒音に耳を塞ぐ政治性も気になった。

さらに地元の漁師で元サックス奏者役の渋川清彦もどこか違う。そんななかに、本当の沖縄の人々がドキュメンタリーのようにリアルに現れる感じに違和感を持った。

もともとドラマがあまり組み立てられていない。うみと離れて那覇市に住む母親のドラマもわかりにくいし、うみの祖父の死も唐突過ぎる。そもそも安藤サクラ演じる都会の女性の訪問は、結局何だったのか。

それでも見終わって気持ちがよかったのは、いつも海の音がして、そこで三線(沖縄の三味線)が鳴り、歌が聞こえていたから。それを吹奏楽のフルートやトランペット、トロンボーンと合わせて映画の題名でもある「島々清しゃ」を演奏する。さらにバイオリンやサックスまで混じる。

その演奏をもっと聞きたいと思ったくらい快かった。洋楽の楽器が三線と一緒になって沖縄の歌に合うとは。この音楽を中心に、南の離島の空気感が十分に感じられたのはよかった。

この音楽を聴いていたら、今年の始めに、サイレント映画の当時の伴奏楽譜の復活演奏を聞きに行ったことを思い出した。この楽譜は早大の演劇博物館所蔵のヒラノ・コレクションと呼ばれるもので、日活系の上映館が使っていたという。

何と、時代劇に合わせてバイオリンやギター、フルートと共に三味線が演奏された。『血煙高田馬場』などを見ながらその和洋合奏を実際に聞いて、何とも懐かしい不思議な気分になった。和洋折衷はすばらしい。

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