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2017年2月 1日 (水)

『スノーデン』を見て

先日ここに引用したオリバー・ストーン監督の発言には、彼の新作『スノーデン』にも触れられていた。アメリカの大手映画会社にすべて断られ、小さな会社のお金をかき集めてドイツとフランスの資本参加でようやくできたと言っていた。これを聞くと急に見たくなり、劇場に行った。

オリバー・ストーンの映画は『プラトーン』(86)の頃はよく見ていたが、最近はあまり見ていない。むしろ監督の発言の方がよく読んだ気がする。

『スノーデン』は、予想通りおもしろかった。もともと「陰謀もの」は好きだし。実を言うと、この映画で描かれるスノーデン自身のドラマは、割に平板だ。というよりは、予算もあってか舞台となる各地での撮影は少なく、いくつかの基地内のスノーデンの苦悩に迫る。

それでも引き込まれるのは、CIAの情報管理システムに何度も驚くから。ジュネーヴでは非公開の一般市民のメールやチャットを見ることのできる「エックスキースコア」を知る。これによって交渉相手の弱みを握るやり方を見て、スノーデンは自分も監視されているのではないかと怖くなる。

ところどころに当時のニュースが入るのもリアル。オバマが当選し、「情報を隠すことなく公開する」と言うが、一方でCIAの秘密工作は続く。

CIAを辞めて民間IT企業に働くスノーデンは、NSA(米国国家安全保障局)からの委託業務で日本の横田基地に行く。そこでの仕事はデータバックアップシステムの構築だったが、ある時から日本が同盟国でなくなった場合に備えて、日本の官民のあらゆるコンピューターにマルウェアと呼ばれる妨害ソフトを仕込む。

つまりボタン1つで、日本のすべてが一瞬のうちにダウンする。あるいはプリズムというシステムでは、グーグル、ヤフー、フェイスブック、アップルなどからすべての情報を収集して記録する。スノーデン本人の私生活もすべて筒抜けだった。

これを書いている私自身も、ノートパソコンの上の真ん中にあるカメラから誰かが覗いているのではないかという気になってくる。呑気にブログを書いたり、フェイスブックやLINEをやっている場合ではない。

物語は、告発を覚悟したスノーデンが2013年に香港で英紙「ガーディアン」の取材に答えながら、2004年からの過去を振り返る形を取る。ガーディアンのスタッフや恋人(シャイリーン・ウッドリー)、CIAの上司(リス・エヴァンスやニコラス・ケイジ)などをきちんと描いているので、単調になりがちな内容にメリハリが効いている。

スマホやパソコンに一日の半分を費やしている人は、ぜひ見た方がいい。

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