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2017年3月19日 (日)

「こども映画教室」を考える

最近、「こども映画教室」という言葉をよく聞く。小学生に映画を教えるという活動で、中心になっているのは30年来の友人の土肥悦子さん。その報告会があるというので、横浜にある東京芸大の大学院映像研究科に行ってみた。

古い銀行の建物を使っているのが横浜らしい。ボランティアで受付にいたのは私の学生だった。報告会は朝の10時から18時までで、各地の主催者の発表や子供たちの作品上映、横浜市の教育委員会を交えたシンポジウムなど盛りだくさん。

一流の映画監督を招き、小学生20~30人がグループに分かれて映画を作るケースが多い。高崎映画祭や信州上田フィルムコミッションが去年初めて「こども映画教室」を開いた理由や経緯を語り、横浜市の小学校の先生が、授業の枠内でこの教室を企画した方法を語る。映画を作るのではなく、一般の映画を子供に見せてその感想を造形にしたり、語り合う会もあった。

まず、各回見せられる小学生が作った映画が抜群におもしろい。走るだけの映画だったり、横浜の客船を宇宙からの敵に見立てたり。基本的にはあえて撮り方を教えずに自分たちで考えさせ、3日間のうちに何とか10分程度の映画を仕上げさせる。その子供たちの表情のすばらしさは、普通の映画ではまず見られない。

そして語っている大人たちの満足な様子。「こども映画教室」は子供を成長させるだけでなく、企画する大人たちにも大きな充足感を与えているようだ。

後半にフランスの実例発表があったが、こちらはあくまで名作の鑑賞に力点を置いている。日本の映画教室が作ることを中心にしているのとは対照的だ。小学生から年に何本か午前中に映画館に連れてゆく。そして高校では映画の分析の授業がある。

もちろん日本の「こども映画教室」で夏休みを中心に、3日間だけ親や先生以外の大人、それも一流の映画人と出会うことの意味は大きい。しかしそれならば、演劇教室でも料理教室でもある意味で同じことと言う気もした。

古今東西の多様な映画を見る目を、小さいうちから養えないかというのは、大学で映画を教えながらいつも考える。横浜市教育委員会の話だと、かつては年に1度講堂などで映画やコンサート、観劇などの枠はあったが、今ではそれもないらしい。

もちろん、子供に映画作りをプロが3日間で教える教室はすばらしい。これを受けられた子供はラッキーだ。しかしそれ以上に、授業の枠内で映画を上映してその見方を教えるようなことが、せめて中学校からできないかと思った。

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